
昨今、内部告発による不正行為が相次いで発覚しています。
コンプライアンスの重要性が叫ばれて久しいわけですが、こうした会社でも当然その取り組みは行われてきているはずです。
にもかかわらず、なぜこのような状況を招いてしまうのでしょうか?!
いちばんの要因は、本来どんな組織も最優先すべき仕組みづくりにほとんどの会社が手をつけていないからだと私は考えます。
それは、「経営理念」を浸透、実践していく仕組みです。
たとえば、2006年に神戸製鋼グループは「企業理念」を次のように定めています。
1.信頼される技術、製品、サービスを提供します
2.社員一人ひとりを活かし、グループの和を尊びます
3.たゆまぬ変革により、新たな価値を創造します
SUBARUは1994年に下記「企業理念」を制定しています。
1.私たちは常に先進の技術の創造に努め、お客様に喜ばれる高品質で個性のある商品を提供します。
2.私たちは常に人・社会・環境の調和を目指し、豊かな社会づくりに貢献します。
3.私たちは常に未来をみつめ国際的な視野に立ち、進取の気性に富んだ活力ある企業を目指します。
両社の不正行為は、これら「企業理念」からあきらかに逸脱したもので、“会社の利益”や“上司の顔色”が「企業理念」より優先された結果起こってしまったともいえるでしょう。
企業経営を行うためには様々な仕組みやルールが必要です。たとえば、利益を追求するために業績管理の仕組みやルールを明確にし、目標管理の仕組みを導入している企業は多いことでしょう。また、効率化を図るためにITシステムを導入したり、生産管理や整理整頓、5Sのルールなどを定めている企業もあるでしょう。
こうした仕組みに対して、その運用を徹底し、定着させ成果を出すために費用と労力が惜しみなく投入されているケースもよく耳にします。
ところが、こと「経営理念」については、その浸透や実践に取り組んだり、成果を継続して確認する仕組みがあるということはめったにないようです。