
音声をボタンひとつで録音できる優れもの、ICレコーダー。会議やインタビュー、楽器練習、語学学習といったように、ビジネスや趣味など幅広いシーンで使うことができます。この記事では、基礎知識や購入ポイント、人気メーカーなど、ICレコーダーを選ぶ上で基本となる部分についてご紹介します。
ICレコーダーとは何?
IC(アイシー)レコーダーとは、音声を記録する機械。
会議やインタビューなどの音声を記録して文字起こしに利用したり、語学学習に活用したり、楽器演奏を録音して音楽練習に用いるなどの用途があります。
ICレコーダーの「IC」とはどんな意味?
ICレコーダーは、フラッシュメモリなどのIC(集積回路)を記録媒体にしています。つまり、ICとは記録媒体のことです。
なお、かつては「テープレコーダー」が主流でしたが、その名残で今でもICレコーダーのことをテープレコーダーの略称である「テレコ」と呼ぶ方もいます。
ICレコーダーとボイスレコーダーの違い
ICレコーダーは音声記録に用いられるため、「ボイスレコーダー」「ボイスメモ」とも呼ばれます。
厳密にいうと「ボイスレコーダー」は音声記録機器全般。そしてその中でもICを用いているものが「ICレコーダー」ということになりますが、ほぼ同義と考えて差し支えないでしょう。
なお、ICレコーダーは和製英語であり、英語では「デジタルボイスレコーダー」と呼びます。
ICレコーダーの購入ポイント
ICレコーダーを購入する際は「容量/記録時間」「SDカード対応の有無」「音質」「接続方法」「電源」「サイズ」などをチェックすると良いでしょう。
用途によっておすすめのスペックは異なります。
例えば、音楽録音用として買ったのに音質が悪かったり、会議を記録するだけなのに高音質で値段の高いものを買ってしまった……など、用途と合わない機種を買ってしまうと損してしまいます。
様々な用途で使いたい方は、レコーダーを最も多用する場面は何かを基準に考えると良いでしょう。
【ICレコーダーの購入ポイント】容量/録音時間
まずはICレコーダーの対応メモリをチェック。本体に直接記録するタイプ/SDカードを装着するタイプ/両対応のタイプがあります。
録音可能時間は録音音質によって異なりますが、会議やインタビュー用であれば4GBもあれば十分。SDカードに対応しているタイプは、容量に応じて録音時間を増やすことができるので便利です。
【ICレコーダーの購入ポイント】音楽練習用なら高音質録音できる機種を!
楽器演奏や音楽を録音したい場合は、「リニアPCM」形式といった高音質で録音できる機種を選びましょう。
リニアPCMとは、オーディオCDでも用いられる、音声データを非圧縮で記録する方式。拡張子は「.wav」などです。音質が良いぶんファイルサイズが大きく、録音可能時間も短くなります。
ICレコーダーを使った音楽録音方法
音楽を録音する時は、楽器またはスピーカーの近くにICレコーダーを設置しましょう。
ただしバンドなど複数の楽器を録音する際は、それぞれの楽器から適度な距離を保った位置にレコーダーを設置して、アンサンブル全体を拾えるようにします。ドラムセットの正面に置くとバランスよく録ることができますが、ドラムに近すぎると振動を拾ってしまうので距離は離します。
振動を拾わないよう、ICレコーダーの下に布を敷くのもおすすめです。
ピアノ演奏を録音する場合は、レコーダーをピアノの上に乗せると振動を拾ってしまうので注意しましょう。
音質以外にも、可動式マイクを搭載している機種や、録音時に自動でレベル調整を行ってくれるものなど、音楽録音に特化したレコーダーは数多く存在しています。
会議用のICレコーダーは音質にこだわらず、低価で抑えるのもおすすめ
高音質で録音できる機種は、それだけ値段も高くなってしまいます。
会議やインタビューの記録用であれば、音質はこだわらず、価格を抑えた機種を買うのもおすすめ。または、音質以外の機能が充実したものを選ぶのも良いでしょう。
【ICレコーダーの購入ポイント】電源は充電式? 電池式?
ICレコーダーの電源は、乾電池式/充電式/乾電池・充電両用/ACアダプター式などがあります。
おすすめは乾電池と充電式の両方に対応しているタイプ。例え充電し忘れても、電池を買いに行けば使用できるからです。
ACアダプター式は、バッテリー残量を気にせず使用できるというメリットがあります。長時間録音したい場合におすすめです。
パソコンにデータを取り込むならUSB接続対応機種がおすすめ
パソコンに音声データを取り込む場合は、USB接続に対応しているモデルがおすすめ。取り込みに便利なだけでなく、USB接続対応モデルはUSB充電が可能な場合が大半なので、データを取り込みながら充電できるというメリットがあります。
【ICレコーダーの購入ポイント】持ち運ぶなら小型モデルがおすすめ
インタビューや語学学習に使用するなど、頻繁に持ち運ぶ場合は小型のICレコーダーが便利です。
中には超薄型やペン型、USBメモリ型など、一見ICレコーダーとわからないような機種もあります。気分はスパイ映画の主人公です。
小型かつ高性能なICレコーダーも多数
インタビューや語学学習で使う場合は、リピート再生機能や速度調整機能を備えたレコーダーもおすすめ。ラジオ録音機能があると語学学習に便利です。
ICレコーダーの人気メーカー/機種を紹介!
ICレコーダーの人気メーカーを紹介。前述したポイントを踏まえた上で、用途に合う一台を探してみてください。
なお下記のメーカー以外にも、「TASCAM(タスカム)」「ZOOM(ズーム)」なども人気です。
種類豊富なICレコーダーをラインナップする「SONY(ソニー)」
形状や機能性、そしてカラーバリエーションなど、豊富なラインナップを取りそろえたソニー。どのシリーズも洗練されたクールなデザインが魅力です。USB接続が可能な「ICD-UX560Fシリーズ」や、小型・軽量ながら高音質録音もできるハイレゾ対応リニアPCMレコーダー「PCM-A10」などが人気です。
【参考】ICレコーダー/メモリーカードレコーダー(ソニー公式サイト)
シェアNo.1を誇るICレコーダーの人気メーカー「OLYMPUS(オリンパス)」
コスパに優れたICレコーダーの数々が人気で、BCN AWARDのICレコーダー部門にて4年連続で販売台数シェアNo.1を獲得しているオリンパス(2019年4月末時点)。
「DM-750」は会議/講義向け、「V-863(写真)」「V-862」は講義&学習向け、「VN-541pc」はメモ録音向け……など、公式サイトでは用途別に適した機種を紹介している点も嬉しいです。コンパクトサイズの「VP-15」もおすすめ。
【参考】オーディオ:ICレコーダー/リニアPCMレコーダー(オリンパス公式サイト)
ICレコーダー初心者でも使いやすい「Panasonic(パナソニック)」
ICレコーダー初心者でも使いやすく、愛らしいデザインが魅力のパナソニック。人気機種「RR-XS470」や、ポケットに入れたまま録音できるスティック型の「RR-XP009」など、リニアPCM対応で容量も十分なモデルが多いです。
また、シンプルで使いやすさに特化した「RR-QR220」や、テープレコーダーのデザインを採用したICレコーダー「RR-SR350」もおすすめ。
ICレコーダーはこんな使い方もできる!
ICレコーダーは、会議、インタビュー、音楽録音、語学学習以外にも、下記のような使用方法もあります。
ICレコーダーで音楽再生も可能!? 音楽プレーヤー代わりに使用
小型な機種が多く、様々な音声形式に対応しているICレコーダーは、音楽プレーヤーの代わりに使用することも可能。
しかし、あくまでICレコーダーは録音用の機器。モノラル再生しかできなかったり、再生に特化した従来の音楽プレーヤーと比較すると機能や音質が劣ってしまいます。
パワハラ対策にはICレコーダー/ボイスレコーダーがおすすめ!
パワハラ/セクハラの証拠を取るためのアイテムとして、昨今はボイスレコーダーやICレコーダーが注目されています。
前述したように、ペン型やUSBメモリ型などの一見ICレコーダーとはわからない機種も存在しているので、パワハラ対策にはこういった超小型モデルを使用するようにしましょう。
また、スマートフォンのボイスメモアプリもバレにくいのでおすすめです。
スマホアプリよりもクリアな音質で録音できるICレコーダー。一度使ってみれば、その魅力と便利さがわかるはずです。数千円で購入できる機種もあるので、興味のある方はぜひ試してみてください。
文/bommiy