
高齢者が大きな病気やケガをすると、元の状態に戻り切れず介護が必要になるケースが多々あります。入院が伴うとさらに事態は深刻で、生活環境がガラリ変わることから認知機能の低下も起こりやすくなります。
では、どのような病気やケガをキッカケに、介護問題が発生するのでしょう?
厚生労働省が行なっている国民生活基礎調査の結果に基づき発表されている「グラフでみる世帯の状態」(厚生労働省=2018年発表)を参考にしながら、考えてみましょう。
総数でみると認知症と脳血管障害が上位
介護が必要になった主な原因、その順位は以下の通りです。
(1)認知症
(2)脳血管疾患
(3)高齢による衰弱
(4)骨折・転倒
(5)関節疾患
(6)心疾患
(7)その他
(8)不詳
↓介護が必要となった主な原因の構成割合
上位にある認知症が介護に大きな問題であることがよくわかります。症状が重い場合、家庭内だけで対応していては、家族も倒れてしまうためどうしても介護施設の世話になるわけです。脳血管疾患は脳卒中や脳梗塞などを指し、命を取り留めた後の障害(麻痺など)で、日常生活に支障をきたします。
男性と女性は、結果が大きく異なる
ところが、男女別に原因をみると、大きな違いがあります。
↓性別にみた介護が必要となった主な原因の構成割合(女性)
↓性別にみた介護が必要となった主な原因の構成割合(男性)
注目すべき点と理由は次の通りです。
・女性の最大の原因が認知症(20%)なのに、男性は脳血管疾患(25.7%)
・脳血管疾患は女性が11.8%なのに、男性は倍以上
・逆に骨折・転倒は女性が14.9%なのに、男性は半分以下の6.7%
男女差の理由は、認知症は加齢に伴い有病率も高まるため、平均寿命の長い女性が多くなる。女性は骨粗しょう症になりやすいため、骨折や転倒の治療が長引く。などが考えられます。脳血管疾患は死亡原因では女性の方が多いものの、こと介護に繋がる病気としては男性の割合の方が多いことも読み取れます。