
■連載/阿部純子のトレンド探検隊
事業発案者の27歳女性が代表を務める新サービス
ブライダルのノバレーゼが女性用パーティードレスのレンタル・シェアリング事業に初参入した。実店舗を持たないインターネット上のシェアビジネスとして、ECサイト「AND YOU dressing room(アンドユードレッシングルーム・以下アンドユー)」を展開、開始から3年目の2021年には年間3億円の売上を目指している。
運営するのは、今年1月に設立したノバレーゼ100%出資の子会社「ANDYOU」で、代表取締役社長は事業発案者である27歳の松田愛里氏が務める。松田氏は2014年にノバレーゼに新卒入社し広報・IRに従事。社内ベンチャー制度に応募し3年連続不採用の後、4回目にして大賞を受賞した。企画を事業化したのは同社では初となる。
ウエディングドレスのレンタルサービスは多いが、アンドユーは招かれるゲスト側のドレスをレンタルするサービス。昨年は7回も結婚式に出席したという松田社長の体験が、事業の発案に反映されている。
「“結婚式全体の写真が全然素敵じゃない”という思いがきっかけとなった。ホテル、ウエディング専門式場、リゾートウエディング、ガーデンウエディングと会場が多様化しているにもかかわらず、パーティードレスはパールのネックレス、短いボレロ、Aラインのコサージュ付きワンピースなど、画一的な決まりきったスタイルで、トレンドが全くないといえる状況。季節感がないのでドレスを見ただけではどの時期に参列したのかわからず、ガーデン、リゾートなどTPOに合わせたコーディネートが抜けてしまっている。市場が多様化している中で、パーティードレスもおしゃれの延長線上で自由に楽しむべきではないか」(松田社長)
ブライダル情報誌「ゼクシィ」の調査では、ご祝儀、ヘアセット、衣装代、交通費など、披露宴や二次会に招待される機会の多い20~30代女性が1回の参列でかける費用は平均で5万円台。大きな出費と負担を感じる中で、同じ服を数回着回す、ヘアやメイクは自分で行うなどでやりくりしている人が多いという。
「SNS時代に同じ服を着回しできない悩みは多くの女性がお持ちだと思う。ゼクシィの調査では結婚式や二次会に招待されるとお金がかかると思う方が82%にも上り、多くの方が祝福したいという気持ちはありながら、本音では痛い出費だなと感じている現実がある。“ご祝儀貧乏”という言葉もあるほど、呼ばれてしまった、参列しなくちゃいけないというマイナスな印象を今回のサービスで払拭したい」(松田社長)