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楽天が導入する携帯電話のクラウドネットワークは世界でどう評価されている?

2019.04.30

日本のネットワーク品質を甘くみていないか

法林氏:基地局って難しくて、好き勝手にポンポン建てればいいってものではない。当然、干渉とかいろんなことを考えないといけない。フィルターもいるし、当然、電源もいるし。そこに光回線を引っ張ってくるとしたら、そのファイバーをどの電柱から持ってくるかとか、いろんな条件があるので、本当に難しいんですよ。

石川氏:以前起きた、ビルの構造計算書を偽造した事件のせいで、ビルの上に重たい構造物を置きたがらないビルオーナーが多いという話。

石野氏:都心部だと景観を損ねてしまうので、建物に付けたくないっていうオーナーがいるとも。

法林氏:知り合いのライターが住んでいるマンションの話が面白かった。マンションに基地局を置かせてくださいと担当者がやって来たんだけど、電磁波の影響を懸念してマンションの理事会で反対になったと。でも後日、向かいのマンションに基地局がこっち向きで建っていたと。

石川氏:意味ないじゃんって。

法林氏:真下の方が電磁波が来ないのに、向かいに建てたらダメじゃん、という笑えない話があるくらい、アンテナ設置を嫌がっているところが多いんですよ。新しいマンションはタワーでデカい。ああいうところは最初からいろんな設備が中に入ったりしているんだけど、高さ10メートルから30メートルのほど良い高さ、4~5階くらいのところにアンテナを設置すると、調度良いらしいんだけど、その場所が取り合いになっている。また、そういうマンションは築年数が古いことが多いので、石川君が言ったみたいな理由で嫌がるオーナーが多い。だったら耐震工事をどうしましょうとか。

石川氏:楽天に可能性があるのは、クラウド化して基地局自体のサイズが小さいと言っていること。実際、二子玉川にあった基地局を見たけれど、確かに小さいように見える。なんとかいっぱい付けることは可能なのかな。

房野氏:基地局のリースってできるのでしょうか。例えばKDDIの基地局を借りるとか。

法林氏:それはできない。例えばドコモの基地局が建っているマンションの屋上にKDDIが基地局を建てたいとなったら、たぶんドコモと協議しないと互いの電波干渉の問題が出てくる。貸せばそれだけ自分の帯域が使えなくなる。

石川氏:将来的にキャリアと関係ない会社がアンテナを建てて、そこを貸すというビジネスは出てくるかもしれないなとキャリアの人は言っていた。例えば東京電力とかがいろんな場所にアンテナを置いて、3社で使いませんか? 4社で使いませんか? と商売する、そんな事態もあり得る。

房野氏:そういえば、23区で基地局ってどれくらいあるんでしょうね。

石野氏:わからない……。

法林氏:今はわからない。

石野氏:都市別に公表していない。ドコモは全国の基地局数を公表しているので、単純に47で割ると都道府県内での平均の数は出る。

石川氏:ドコモは800MHz帯という飛びやすい電波を持っている。でも楽天は1.7GHz帯しか持っていないから、なかなかそこの算出は難しい。UQコミュニケーションズが確か全国で約3万局建てている。あれは2.5GHz帯だから、まぁ、UQより楽天は有利かなぁって感じ。

石野氏:さっきのトンネル協会の話も。協会に入れば大丈夫と楽天は言っていたけれど、地下街とかトンネル協会がカバーしていないところがたくさんある。

法林氏:というか、協会に入ったから使えます、みたいなことを言っているのが、安易な気が……

石川氏:地下鉄の基地局は合同で工事して3本線が入っているんですよね。

法林氏:そうそう。

石野氏:漏洩同軸のアンテナを共用しているんじゃなかったでしたっけ。そこから各社の設備に分かれていくって感じでした。

石川氏:だから、そこまでは自分たちでつなげないといけないんだよね。

石野氏:そうです。MWCの会場で小耳に挟んだのですが、過去に敷設した設備の費用も楽天にドンと請求されたらどうするんだろうという話をしてる人もいました。

石川氏:分担しろってことか。そりゃそうだよね。

法林氏:さっきのアンテナの数、総務省のデータによると、東名阪のみのドコモの1.7GHz帯だけで1万7000局建っているそうです。東京だけだったら、たぶん数千局はあるでしょう。3で割ったとしてもそれくらいになる。

石野氏:ドコモは1.7GHz帯だけでエリアをカバーする必要はない。その分、他の周波数帯の基地局はもっと多いはず。

法林氏:ドコモは800MHz帯のネットワークが全国にあるので。

石野氏:楽天は日本のネットワークのきめ細やかさを侮っていると失敗する。

石川氏:楽天が参入して料金競争が起きると、特に一般メディアはよく言っているけれど、都心部でちゃんとつながらないと、ユーザーをがっかりさせることになって危険。

石野氏:地方でauにつながって安かったらお得じゃないですか。

房野氏:23区内もauで、なんてことにはならないでしょうか。

石川氏:それはしないはず。

石野氏:契約に入っていない。

法林氏:貸さないといっていた。ただ、河川沿い、例えば多摩川の反対側からの電波が受信できて利用できる、そんな状況はあり得ますけれど、基本的には契約情報に入っていないので、23区内でKDDIは楽天に回線を貸さないはず。

房野氏:楽天は東京23区内をがんばらないといけませんね。

法林氏:楽天はスケジュールを前倒すと言っている。

石野氏:都内を前倒すというか、全国展開を前倒して、ローミングをさっさと止めたいと言っていた。

法林氏:難しいね。すごく冷静になって考えないといけない。同じ新規参入でも、イー・モバイルのときはスマホがまだなかったんですよ。フィーチャーフォンだったので、トラフィックが今ほど多くなかった。

石川氏:シャープ端末がありましたよ。

石野氏:「EM・ONE」(Windows Mobileを採用したHSDPA対応端末)でしたっけ。

法林氏:ありましたね。でも、そのくらいの状況。それに対して今はみんなスマホじゃないですか。トラフィックは膨大に増えている。あのときよりも何十倍もデータを使っている状況下で、あのときと同じくらいのネットワーク展開スピードではお話にならない気がする。だからマズイかなと。

石川氏:アミンさんに聞いたら、5Gが始まるので、データのトラフィックは5Gに逃がすという言い方をしていたけど……5Gの電波は1.7GHz帯より飛ばないよって。

石野氏:そうなんですよね。

法林氏:日本の地域性を分かっているかだよね。

......続く!

次回は、折りたたみスマホについて話合います。ご期待ください。

法林岳之
法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温
石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也
石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子
房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

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