人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース
2019.04.29

説明できる?「迷信」と「先人の智恵」の違い

 自転車を漕いで交差点に近づいた時、コーナーから突然黒い猫が現れたら自転車を止めるだろうか? もしそのまま進んでいたら交通事故の可能性があったのではないかと考えれば、この黒い猫に何らかの意味を感じてしまうかもしれない。たとえそれが“迷信”であったとしても……。

“迷信”はどのように広まり定着するのか

 夜中に爪を切ってはいけない、家の中で傘を広げてはいけない、などの言伝えを何の疑問も感じることなく従っている人は案外多いという。従わないことには“落ち着かない”という人も少なくないようだ。

 こうした“迷信”はどうやって広まり、そして定着するのだろうか。この謎に米・ペンシルベニア大学の研究チームが挑んでいる。その鍵となるのが進化人類学とゲーム理論であるということだ。

 研究チームは迷信の定着をわかりやすく説明するのに、交差点の信号機を引き合いに出している。対面する信号が赤の時には止まり、青の時には進むというのは交通規則だが、たいていの場合で我々は偶然にその色の信号に直面する。

 信号という偶然のシグナルに行動を左右されてしまうというのは良く考えれば“非合理的”である。自分のほかに明らかに誰もいない時などは、信号を無視したほうが“合理的”であると言うことも可能だ(もちろん交通違反にはなるが)。

Phys.org」より

 信号が非合理的なものでありながらも、それでも基本的には我々は信号を守る。それは信号を守ったほうが予期せぬ危険を回避できる可能性が高く、また違反切符を切られる可能性も低くなり、長い目で見れば結果的に少ない労力で利益を得られることを理解しているからだ。そしてこの便宜をより多く受けるためには、ほかのドライバーにも信号を守ることが期待されてくる。

 こうした信号のような不合理なものの存在に立脚しつつも、それぞれが最大の利得を得ようとした結果にあらわれる均衡状態をゲーム理論では相関均衡(correlated equilibrium)と定義している。そしてこの信号機はいわば“迷信”なのである。そしてこの迷信に従わなかったドライバーが事故を起しているのを見たり、また常に信号を守ってゴールド免許を獲得したドライバーを知ったりする経験を重ねて、この信号という迷信は強化され“既定事実”になる。

 研究チームはほかの“迷信”もこうしたメカニズムで広まり定着していくと説明している。個々の人間は基本的には合理的な行動を取り、迷信に盲目的に従うことはないのだが、従ったほうが得をするように思えたり、従った他者が得をしているのを見たりした時、この迷信は人々の間で広まり定着するのだ。したがって迷信はその真偽が問題なのではなく、損得の問題ということになりそうだ。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2019年5月16日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「マルチUSB付きIDホルダー」! 特集は「本当に売れているモノランキング」「勝負時計BEST 50」etc.

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。