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Forbesの再編に学ぶデジタルトランスフォーメーションの難しさ

2019.04.17

世界長者番付で知られるアメリカの経済紙・Forbesの最高デジタル責任者(CDO、Chief Digital Officer)・Salah Zalatimo氏によると、百年の歴史があるビジネス誌を変えるのは、時速100マイル(時速約160km)で走っている車のタイヤを交換するようなものだという。

Forbesのような会社の改革を担うチームは、NASCARのピットクルーにも似た迅速さと正確さで取り組む必要がある。

かつては分断されていたForbesのプリント部門とデジタル部門

Forbesのプリント部門とデジタル部門はかつて、独立した運営でオフィスも分かれていた。しかし、同社がデジタル業務を再編する過程で、両部門は最終的に統合された。

2年前の再編によりForbesのステークホルダーは、データアナリスト、ウェブデザイナー、エンジニア、開発者を含むチームをまとめることができた。その結果、各グループがサイロ化(他部門と連携せずに自己完結すること)された運営だった時に、進行を遅らせていたメッセージのやり取りが減少したと、Zalatimo氏は振り返る。

ただ、サイロ化がデジタルトランスフォーメーションの阻害要因になっている企業は、Forbesだけではない。

Vanson BourneとSnapLogicによる調査では、IT部門の意思決定者の10人中3人が、デジタルトランスフォーメーションを進める企業にとってデータのサイロ化がとりわけ大きな課題になっていると回答した。

AdobeとEconsultancyによる調査でも、IT専門職の42%は、部門のサイロ化がデジタルトランスフォーメーションの障害になることはよくあると回答した。

一方で、Experianによる米国従業員の調査では、サイロ化思考がデジタルトランスフォーメーションを妨げているという声は11%しかなかった。それでも、Harvard Business Reviewによる企業幹部を対象とした調査は、組織のサイロ化が、デジタルトランスフォーメーションの障害と考えられるもののトップに挙がった。

企業のデジタルトランスフォーメーションの障害(世界調査、業界別、2018年8月)

少なからずある、サイロ化によるメリットとは?

ただし、サイロ化には否定的な要素があるとはいえ、悪いことばかりではない。M2 Eventsの最高経営責任者(CEO)を務めるDrew Ianni氏によると、サイロ化は協調の妨げになる可能性がある一方で、専門知識の拠点でもあり、解体すべきものばかりとは限らないという。

「私にとって、サイロ化された状態が解体すべきものだったことは一度もない」とIanni氏は語る。「サイロはうまく連携させるべきもので、専門知識を失いたくない。」

Zalatimo氏によると、Forbesの再編では、部門が異なる従業員たちの配置を互いに近づけたことのほかに、ITの従業員が他部門のサポート役になるだけではなく、プロダクトのオーナーにもなれるようにしたという。

「受け身ではなく率先して行動し、アドバイスを提供する立場が強まると、仕事はもはや『問題が発生したから、仕方なく対処する』というものではなくなる」とZalatimo氏は語る。「物事を改善する方法を見つけようという姿勢が基本にあり、常に時間よりもアイデアの方が多いため、継続的な取り組みが当たり前になる」

Forbesは再編の過程で、継続的デプロイ戦略(continuous deployment strategy)に移行した。週に1回の頻度でプロダクトをまとめてリリースするやり方とは違い、継続的デプロイによってForbesはプロダクトを即座に調整することが可能になる。同社は現在、プロダクトの更新とリリースを1日に数回実施しており、古いアプローチよりも大幅に迅速化している。

積極的にデジタル化を推進してきたForbes、2018年にははこの十数年における最高益を達成したと主張

「プロジェクト主導の考え方を離れると、どのプロダクトも常に最適化されている状態になり、始まりも終わりもなくなる」とZalatimo氏は語る。

「すると(ステークホルダーは)プロジェクトを提起するのではなく、プロジェクトを評価することが必要になる。それは試練になるかもしれない。反発があるかもしれないし、フォローアップとデータの要求があるかもしれない。再編は当社のステークホルダーの考え方を少なからず変えた」

Forbesはここ数年間、積極的にデジタルへ力を注いできた。ウェブサイトのデザインを刷新し、CMS(コンテンツ管理システム)を構築し、記者用のAI(人工知能)ツールを開発して、ブロックチェーンのプラットフォームを介したコンテンツ発行を実験した。成果は上がっているようで、同社は、2018年はこの十数年における最高益であったと主張している。

Forbesのデジタルトランスフォーメーションは同社独自事業の特定ニーズに対応するものだったが、他社にもあてはまる教訓もいくつかある。デジタルトランスフォーメーションを検討しているメディア企業とマーケティング企業に向けて、Zalatimo氏はこう提案する。

・目標と主要な結果(OKRs、Objectives and key results)を活用し、組織の全員が同じ目標に向かって働くようにする。
・データに裏付けられた判断を行う。
・プロダクトマネージャー、エンジニア、デザイナーが同じチームに報告するようにする。これがステークホルダー間の信頼を生み、対人関係の構築を促す。
・再編対象の部門の従業員たちと常にコミュニケーションを取る。
・進展がわずかでも、急がずに耐える。

「文化とは、実のところ習慣の集積だ」とZalatimo氏は語る。「組織を変革するということは、いわば文化を変えることだ。これは長い時間を要する。私見だが、大規模な組織だと少なくとも3年はかかるだろう。それでわれわれはゆっくりと、一歩ずつ着実に前進し、船(組織)を揺らしすぎないようにした」

出典元:eMarketer、株式会社サイバー・コミュニケーションズ

構成/こじへい

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