両会場とも、目立つ場所に貼り紙があり、スムーズにチェックインができた。スマホがチケットの役割を果たすので、くれぐれもスマホを忘れないように。
コンサートによっては、指定席と自由席に分かれていることが多いが、「コンパス」サイトでは「残り10席」などと残席数は表示されても、席を決める選択肢がない。この点について、運営会社のオフィス・モデルン代表取締役の藤井宏直さんは、以下のように説明する。
「コンパスでご提供しているコンサートは、自由席のみの取り扱いが多いです。一部、指定席のコンサートがありますが、その場合は、コンパス会員にできるだけ良い座席からご提供いただくよう主催者様にお願いをしています」
「掲載のコンサートは、あまり集客が見込めないものが多い?」という、意地悪な先入観を持っていた筆者だが、それは見事に外れた。「Innovative CLASSICS Orchestra 2019~2 Concerti & Symphony~」は指定席については9割方埋まり、「リコーダー 大塚照道 中村友美 ジョイントリサイタル」は、ほぼ満席であった。
大入りとなった「Innovative CLASSICS Orchestra 2019~2 Concerti & Symphony~」
今後はジャズや和楽器などのコンサートも
もともと集客力のあるコンサートでも「コンパス」を活用しているのは、「今までとは異なったオーディエンスの層に来てもらう」という主催者側の意図があるという。クラシック音楽の愛好家も、もっぱらピアノを聴く層、オーケストラを聴く層などに分かれ、自分の関心の外にあるジャンルまで食指が動きにくいそうで、「コンパス」はそうした心の垣根を取り払う役割も期待されている。
もちろん、クラシック音楽に多少興味はあっても、コンサートまで足を運ぶことのなかった多くの潜在的「初心者」も、「コンパス」のターゲット層だ。
藤井さんは、「最初はほんの興味本位でいいと思っています。来場してみたら、コンサートホールという未知の空間で生演奏を聴くという体験ができます。『コンパス』が、その体験への架け橋になれればと考えています」と話す。
白状すると、筆者もクラシックコンサートにはまず行かない層の一人。それが「コンパス」に加入することで、知らない世界を堪能することができ、今後も時々コンサートに行きたいとまで思うようになっている。
藤井さんによれば、将来的にはコンサートの掲載本数はもちろん、ジャズや和楽器など他ジャンルのコンサートも拡充するそうで、それで月々2,000円は非常にリーズナブルだと思う。多少とも興味がある方は、加入を検討してみてはいかがだろうか?
文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)