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2019.04.08PR

データ時代は“そもそも論”をサボらない企業が生き残る!ベンチャー企業役員が憲法学者を訪ねた理由【PR】

 いま、ビックデータを活用し、社会課題の解決や、新規ビジネスを創出しようと、官民が一体になって構想を進めている。いわゆるデータ経済圏などと言われるものである。

 データは21世紀の石油とも呼ばれ、情報こそが新しい価値を生むという考え方が根底にある。しかし、こうしたアプローチはポジティブな面ばかりではない。世界を席巻するIT企業がユーザーから収集するデータは誰のものなのか。連日報道されるGAFA規制の動きも、そうしたことへの対処のひとつといる。

 こうしたなかで、日本で次世代型銀行サービスを構想し、その足がかりとなるコミュニティサイト「AIre VOICE」を2019年3月にローンチさせたベンチャー企業がある。IFA社だ。そのCOO(最高執行責任者)の桂城漢大が、どうしても話を聞きたいと押しかけたというのが憲法学者の山本龍彦慶応大学法科大学院教授だ。『AIと憲法』(日本経済新聞社、2018)、『おそろしいビックデータ』(朝日新書、2017)などの著書で、ビックデータ・AIの活用が進んだ社会において、憲法の役割が見直されると考える。

 憲法と聞くと、AIやベンチャー企業と、どう関係があるのだろうか?

ベンチャー企業のCOOが憲法学者を訪ねた理由

 分散型台帳とも呼ばれるブロックチェーンなどを使い、サービスを提供するベンチャー企業のIFA社。そのCOOが、なぜ、憲法学者を訪ねたのか? その問いに、桂城氏は、ビジネスやテクノロジーだけでサービスを考えるだけでは偏りがあると感じ、近代国家や社会の基本的なルールである憲法の専門家ならば、自分の疑問に対する答えを持っているのではないか、と考えるようになった、と話す。

 憲法学者で、内閣府の専門調査会の専門委員でもある山本教授は、いきなりアポイントを取ってきた桂城を、どう思ったのか?

山本:日本でも情報銀行の議論が始まっていますが、本当の意味での変革は、若い世代で、いまの時代に敏感な人たちが起こしていくはず。どんな考えを持っているのかに関心がありました。

 桂城さんとの会話で2つ印象に残った話があります。ひとつは、私がバーチャルスラムと呼んでいる問題(詳細は『おそろしいビックデータ』3章)に、興味を示してくれたことです。バーチャルスラムとは、AIなどで行なわれたスコアリングで低く評価されると、社会の至る所で差別的に扱われ、社会の下層で固定化される懸念をいいます。現在、与信などに用いられるスコアリングは、一方通行で、それをユーザーは受け入れるしかないし、説明もない。今後、ビックデータが用いられ、AIのようなアルゴリズムで、さまざまなスコアリングが行なわれるようになると、深刻な問題が表面化する。これは、今後議論されていかなければいけない問題ですが、こうしたことに、従来の価値観に束縛されず、そこを新しいビジネスの優位性にしようと話していたことはよく覚えています。もうひとつは、フィルターバブル(自分の好きな情報にのみ囲まれ泡の中にいるような現象のこと。提唱者のイーライ・パリサーの著書『フィルターバブル』(ハヤカワ文庫、2016)の危険性について、関心をもってくれたことですね。

桂城:スコアリングやフィルターバブルの問題点は、いま開発しているプロダクトで、具体的に改善した姿を提示したいと思っています。誰かに押し付けられるスコアリングではなく、現在の評価を、努力で改善し、やりたいことを実現する、というライフプランニングができるような世界にしたい。また、スコアリングの評価にも、なぜ、そうなるのかと、異論を挟めるようにしたいと思っています。

 桂城氏は、ユーザーが情報の管理の主体となり、意思決定が歪められたり、制限が加えられることのない「自由」が保障されるべき、という問題意識から次世代銀行プラットフォーム構想「AIre」の実現を目指している。こうした考えは個人の尊重など、国民の権利の保障を定める日本国憲法の内容と関連があることを山本教授は指摘する。

大きな権力主体を縛る憲法は企業も尊重する必要がある

山本:人間の長い歴史の中では、自分の人生を自分で決められない、身分制度があった時代のほうが長かったんです。近代になり、自分で自分の人生を作ることがようやく可能になる。これは個人の尊重という、日本国憲法が持つ重要な考え方です。

 私がスコアリングの負の側面を話すときに念頭に置いているのは、カフカの長編小説『審判』です。主人公・ヨーゼフ.Kは、朝起きたら突然警察に逮捕され、そのまま理由が示されないまま裁判になり、物語が進んでいく不条理な話です。スコアリングのスコアに規定されて、理由も説明されないまま自分で進む道を選べなくなってしまう状態は、『審判』の主人公の体験に似ています。

 しかし、スコアリングが個人の可能性を引き出す場合もあります。例えば、いま私のゼミ生たちが就職活動をしています。なかには、一生懸命に勉強してきたけれど、一発勝負の面接は苦手という学生もいます。そういう学生にとって、AIを就職試験に採用する企業は、メリットになるかもしれない。なぜならば、スコアリングは面接のような点での評価ではなく、線で評価してくれるので、一生懸命勉強してきた人を正しく見てくれる可能性もある。

 このように、スコアリングにはプラスとマイナス両方の側面がある。ただし、その前提として、そこに個人の意思が尊重されていなければなりません。GAFAへの批判は、個人が知らないところで、ユーザーを自らの利益を得るための手段としてしか考えていないという疑念が根本的にあるのでしょう。今後は、やはりユーザーの視点に立つことが、世界的な大企業にも求められてくると思います。

桂城:企業としては、利益は減るかもしれないけれど、個人の主体性を確保することは大事な視点になると思います。私たちは、そもそもプラットフォームを提供する会社は、営利企業としての法人格でいいのだろうか、といった議論も社内では活発に行なっていますから。

 こういう話をすると高尚とか言われて、鼻で笑う人もいます。でも、それをやっていかないと、次の時代に土台にすら乗らないと思うんです。
自分、好きな言葉がラテン語なんですけれど、Nihil sub sole novum (ニヒル ズブ ソーレ ノーブム)という言葉で、「太陽の下、新しいことは何もない」って意味です。同じようなサービスは、どこにでもある。じゃあ、どう差別化するかっていうと、何を掲げているかっていう大義というか、そもそもの部分で差別化されるのかなって思うんです。

山本:ベンチャー企業の方と、こんな話になるのは、驚きですね(笑)。民間企業の実務家の方は、民法、刑法、個人情報保護法などの法律には関心がありますが、その背後にある憲法って、そもそも論なので、あまり踏み込んで来ないんです。

 先日、ブリュッセルでEUのGDPR(EU一般データ保護法則)担当官と話をしたときに、「GDPRは、憲法的な役割を持っている」と、はっきりと言われたのが印象的でした。憲法は、第一には、大きな権力主体である国家を縛るものですが、個人が民間企業から人権侵害を受けているときは、国家がその侵害から守らなければならないという憲法上の基本権保護義務を負っているというわけです。GDPRは、EUの基本権憲章(EUの憲法)の理念を踏まえて、民間企業による人権侵害からEU市民を守るためのものだ、ということなのです。

桂城:そうか、そうした背景があるんですね。

山本:こういう理念的な背景は、ナチス政権がユダヤ人を迫害する際、民間企業のデータベースを利用したことが関係しています。当時、民間企業が政府に協力して、ユダヤ人の迫害に協力した。この記憶があるので、政府や民間企業が、個人情報にアクセスしてくることへの警戒心が強いんです。

桂城:私たちが今後やりたいのは、ビジネスをする地域やユーザーが異なっても、近代の憲法が持つ理念を、うまくブレイクダウンして、プロダクトにしていくことです。インターネットが普及したことで、企業活動はますます国境を超えて広がるようになっています。そうすると、サスティナブルに成長していくには、ますます、きちんとした理念を持っていないと、生き残っていけないと思うんです。

山本:スタートアップの企業で、そこまで考えているところは少ないですよね。

桂城:そうだと思います。私たちは、スイスやマルタ共和国で、暗号資産やブロックチェーンの事業を検討していますが、政府高官たちは、そもそも論をきちんとやるようにしているので信頼してくれるんです。しかし、多くの日本企業は、技術面の話などは良くするけれど、背景にあるそもそも論のところはしないそうです。

偶然をいかに作り出すか?

山本:社会が大きく変わるなかで、法律や制度も、それに合ったものにしていく必要がある。けれど、そこを変えようとすると、そもそも論の憲法や人権理念に立ち返らないと、有効な議論になり得ない。ここは大事なポイントと思います。

 フィルターバブルの話でいうと、いまのプラットフォーマーは、どうしてもユーザーを自分好みの泡(バブル)の中に囲い込もうとするけれど、そうすると、偶然の出会い(セレンディピティ)が失われてしまう。人間は、セレンディピティで人生を楽しんでいるところがあるので、それがいまの情報環境で失われているとなると、自己決定権の問題にも及びかねないんです。

桂城:そこは私たちも注目しているテーマで、どう偶然を作り出していくかっていうのを、UI(ユーザー・インターフェイス)、UX(ユーザー・エクスペリエンス)で考えています。

山本:現実空間では、心地よいものだけでなく、自分が見たくないものもノイズとして飛び込んでくる。ただ、そこに偶然の出会いがあったりする。暑苦しい議論かもしれませんが、公共性や多様性ということを考えるならば、プラットフォームのなかで、そういうノイズをいかに見せるかも重要になるのかもしれません。それは、ビジネスとの相性は悪いかもしれませんが。

桂城:そういうところにも挑戦していきたいと思っています。

山本:今日お話をしたような、そもそも論の議論をサボらないことは大切で、そういうところに目配せできる企業が注目されるのかな、と思っています。

桂城:今後も、いろいろと勉強させてください。ありがとうございました。

右・山本龍彦氏
1976年、東京生まれ。慶応義塾大学法学部卒業、同大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。2017年ワシントン大学ロースクール客員教授。現在、総務省AIネットワーク社会推進会議・AIガバナンス検討会構成員なども務める


左・桂城漢大氏
IFA COO。大学在学時にビットコインの可能性に触れ、調査・研究に没頭。海外短期留学などを経験後、DLT(分散型台帳技術)を開発する企業のコンサルティングをしていた水倉仁志(現IFA社 CEO)と出会い、意気投合。「AIre」のビジネス開発部門の責任者を務める。

取材・文/編集部 撮影/干川 修

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