日本で4Kテレビが世に出たのは約8年前。今や店頭に並ぶのは4Kがほとんどだ。その間、画質や音質は目覚ましく進化し、最近ではVODサービスを中心としたネット関連機能が充実してきた。そんな4Kテレビの最新トレンドを、ジャーナリストの西田宗千佳さんが解説する。
新4K衛星放送が始まり、昨年後半から対応の新モデルなどが続々と登場。最新機種はどんな特徴を備えているのか? 西田さんは色表現や解像感などの高画質技術に注目する。
「色域とダイナミックレンジの広さが大きく変わっています。有機ELモデルだけでなく、液晶モデルもバックライトとその制御を改善。スッキリした鮮明な映像になっています。解像感や動作速度も向上しました」
もうひとつのトレンドがVODサービスへの対応。標準機能といえるほど浸透している。
「最近のテレビにとって、ネット配信動画を視聴するアプリの内蔵はもう当たり前。リモコンにNetflixやAbema TVのボタンを備えるモデルも増えています。AirPlay2への対応など、スマホとの連動も進んでいますね」
多彩なコンテンツをより満喫できるよう、映像や音響に関わる最新技術を採用するモデルも増えてきた。映像のダイナミックレンジを高めて、色表現やコントラストを改善する「Dolby Vision」はその一例だ。
「Dolby VisionはUHD BDやネット配信で利用されることが多かったのですが、テレビの基本機能にもなりつつあります。立体音響システムのDolby Atmosを採用する機種も出ていますが、機器によっては専用のアンプやスピーカーが必要。プレミアムな体験を求める人向けです」
次世代技術に関しては、AIや8Kといったキーワードも気になるところ。しかし、西田さんはいずれも「まだ本格的な普及は先になる」と見ている。テレビ市場で今注目すべきは、コンテンツや映像技術が充実し、成熟期を迎えた最新の4Kテレビで間違いなしだ。
ジャーナリスト 西田宗千佳さん
PCやデジタルAV、家電、ネットワーク関連などを対象に、国内外で幅広く取材。業界向きの取材記事のほか、一般消費者向けの解説を行なう。