
■連載/ゴン川野のPC Audio Lab
ULTRASONEと言えばドイツ生まれのヘッドホンメーカー。特に限定生産で発売されるフラッグシップモデルのEditionシリーズは発表されるごとに世界のオーディオマニアたちの耳目を集めることになる。音質はもちろん、デザイン、素材、仕上げにもこだわった元祖高額ヘッドホンがEditionシリーズなのだ。今回、登場したのは『Edition 15』を密閉型にした『Edition 15 Veritas』(39万9980円税込)とハイエンドのイヤホンULTRASONE『Saphire』(39万9980円税込)である。
なぜ密閉型なのか? どんな音作りなのか? 来日したマイケル・ギルバートCEOにULTRASONE『Edition 15 Veritas』に関する疑問をぶつけてみた。
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●我々が目指した真実の音は、高解像度で温かく心地よい
『Edition 15 Veritas』のVeritasはラテン語で真理を意味する。この名前を冠したヘッドホンはいったいどんな音作りを目指したのだろうか。まず、現行のEditionシリーズは5、8、11が存在する。これらのモデルと最新型のEdition 15とハードウエア的な違いはあるのだろうか。
「大きな違いはドライバーユニットです。5、8、11はマイラー素材にTitaniumをコーティングしたドライバーを採用しています。15に使われているTitaniumとゴールドを使い分けてコーティングしたハイブリッドのGTCドライバーを採用しています。これにより、音の緻密さに加えて柔らかさが出てくるようになりました」
それでは、Edition 15と15 Veritasのドライバーユニットは同じモノですか?
「細かいチューニングは異なりますが、ユニットは同一のモノです。イヤーパッドの素材が変更されています。エチオピアンシープレザーからメリノシープレザーに変更しました。より、保湿性が高く、長時間使用に向くソフトな触り心地で品質は同じです。ハウジングの素材もステンレススチールからアルミニュウムに変更しています」
するとドライバーの違いが、従来までのEditionシリーズと15と15 Veritasとの音の違いを作っているのでしょうか?
「Edition 15」のコンセプトは、柔らかくて優しい音でした。我々のリサーチの結果、現代では、そのような音が求められているという結論に達しました。「Edition 15」は開放型として、『Edition 15 Veritas』は密閉型として、それぞれメリットを活かしながら同じ音を目指しています。全く同じ音にしたいとは思いませんが、目的の音は同じです。個別に見れば開放型は広々とした音場、密閉型は使い場所を選ばない遮音性と中低域の厚みや、低音の量感などに注視して設計されています」
ULTRASONEのヘッドホンはフラッグシップのEditionシリーズとコンシューマー用のSignatureシリーズ、そしてプロフェショナル用のProシリーズに分かれている。
「Edition 15」のハウジングはステンレス合金でパンチングで穴が開けられていた。これに対して『Edition 15 Veritas』はアルミ合金製で密閉型のために穴はなく放射状のラインがレーザーで彫刻されたデザインを採用。
接続端子は医療グレードのLEMOコネクターを採用。付属するのはφ3.5mmアンバランス接続用の長さ1.2mと3mのケーブルでφ6.3mm標準プラグ用アダプターも付属。
Editionシリーズと言えば、豪華なケースに収まっているのが定番。今回もアメリカンチェリーウッドの素材と同色の革張りケースが付属する。