「カカオ総選挙」でお気に入りの味に投票
だが、食べ比べという提案をいかに浸透させるかが課題になった。パッケージに3つのケースとそれぞれのオススメの順番を印刷しただけでは弱いからだ。
そこで考えられたのが「カカオ総選挙」。選挙仕立てのテレビCMと連動し、ミルク、ビター、ダーク、ハイカカオのどれがお気に入りかをユーザーが投票。4つの味があることを明確にし、食べ比べできることを印象づけることにした。
投票は、『ルック4』のTwitterアカウントをフォローし、「#cacao27」「#cacao40」「#cacao55」「#cacao70」というハッシュタグのどれかを付けてリプライすることで完了。投票者の中から抽選で55名に、『ルック4』160個入り1ケースが送られた。
総選挙は未購入者も投票できることもあり、定番のミルクが圧勝。ところが、購入者を対象に調査したところ、面白い結果が判明する。一番人気が拮抗したのだ。
「一番人気は定番のミルクと人気沸騰中のハイカカオで拮抗するかもしれないと思っていましたが、4つすべてが拮抗。好みは人それぞれであることを裏づける結果となりました」と振り返る礒田氏。食べてみたら気に入ったことから、ビターやダークも人気を集めたと分析する。
カカオ総選挙の結果と、購入者を対象に調査した一番お気に入りの味の結果の違い。後者の一番人気は前者と違い、4種類すべてがほぼ同程度となった
「カカオ総選挙」後は、同社のレシピサイト「ペコポコ キッチン」でレシピ紹介しながら食べ比べを提案する。カカオ分の違いを生かしたレシピを提案するなどした。
『ルック4』を使ったレシピとしては、チョコレートフォンデュをはじめ、ケーキやパイなども提案。レシピは今後増やしていく考えだが、現在『ルック4』を使ったもので一番アクセスを集めているのが、市販のスティックパンを使ってつくる「スティックチョコラスク」だという。
スティックチョコラスク(不二家が公開したYouTube動画より抜粋)
ユーザーが発信した「利きチョコ」という楽しみ方
礒田氏によれば、食べ比べ以外の楽しみ方としては利きチョコがあるという。 利きチョコは同社でも想定していたが、ユーザーの方が積極的に、楽しみ方として発信。目隠しした状態で食べ、何を食べたかを当てることが、家族や親しい人たちの間で楽しまれている。
利きチョコを楽しむユーザーは、思いのほか多かった。こうしたこともあり、「個包装してほしい」という要望が同社に多く寄せられた。そこで、発売から半年ほど経過した2018年3月に、個包装したファミリーパックを発売した。
また、2018年9月にリニューアルを実施。礒田氏はリニューアルのポイントを次のように話す。
「まず、ハイカカオチョコレートが定着したことを受け、チョコレートの苦味や酸味がより実感できるよう、カカオのロースト感をアップしました。一方、ミルクチョコレートに関してはミルクの甘さをスッキリさせる改良を実施。苦味や酸味と甘みやマイルド感の両面が引き立つようにしています」
取材からわかった『ルック4』のヒット要因3
1.新しい楽しみ方の提案
4種類のソリッドチョコレートをアソートしただけであれば、お得感が高いだけたが、食べ比べという新しい楽しみ方を提案したことで、お得感の高さ以外の価値が提供できた。
2.ユーザーを引きつけられた
「カカオ総選挙」では4種類の味をアソートしたことを明確にし、「ペコポコ キッチン」では4種類の味の違いを比較できるようなレシピを提案。食べ比べると新しい発見があると思わせ、ユーザーを引きつけることができた。
3.楽しみながら食せる
食べ比べや利きチョコなど、味やお得感以外に、食べる楽しさを提供。楽しみながら食べられる点は、他のソリッドチョコレートにはない強みだ。
『ルック4』は、楽しみながら食べるという新境地を開拓した。しかも、楽しみ方が不二家からの提案だけでなく、ユーザーからの発信もある。ユーザーが可能性を広げることができる奥の深さは、何物にも代え難い『ルック4』の魅力である。
製品情報
https://www.fujiya-peko.co.jp/look4_look3/
文/大沢裕司
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