
■連載/石野純也のガチレビュー
Androidを代表するスマートフォンを1つ選ぶとすれば、やはりサムスン電子のGalaxyシリーズだろう。グローバルではトップクラスの売れ行きを誇り、色鮮やかな有機ELディスプレイやパフォーマンスの高さでは、常に他社をリードしてきた。そのサムスン電子が、Galaxy10周年の2019年に送り出すフラッグシップモデルが、「Galaxy S10」だ。
同シリーズのバリエーションは、全3機種。ど真ん中の「Galaxy S10」に加え、ディスプレイをより大きくした「Galaxy S10+」と、フラットなディスプレイを搭載し、価格を抑えた「Galaxy S10e」でライナップが構成される。3機種ともCPUなどは共通だが、Galaxy S10、S10+は超音波を使った画面内の指紋センサーや、左右が曲がったエッジスクリーンを搭載する。
背面にトリプルカメラを採用したのも、Galaxy S10シリーズの特徴だ。新たに超広角が加わり、風景などを迫力ある形で撮影できるようになった。また、Galaxy S10+のみ、フロントカメラもデュアルになり、セルフィー撮影の機能も強化されている。残念ながら現時点では日本での展開予定は決まっていないが、先に発売したグローバル版のGalaxy S10+を試用することができた。国内発売に先立ち、その実力をチェックしていきたい。
より限界まで広がったディスプレイ、背面もシンプルに
Galaxy S10+は、まるでディスプレイそのものを持っているかのように額縁が細い。これまでも、左右がカーブしたエッジスクリーンを採用してきたが、Galaxy S10+では、上下もいっぱいまでディスプレイが広がり、画面占有率がこれまで以上に高くなっている。その理由は、インカメラを画面内に埋め込んだところにある。
iPhone Xが登場して以降、画面内にインカメラや各種センサーが食い込んだ形状の「ノッチ」がトレンドになっていが、やはり映像を見る際にどうしても視界に入り、邪魔になりやすい。これに対し、Galaxy S10+のインカメラは面積も狭く、画面の右端に搭載されているため、写真や動画を全画面表示しても、目立ちにくいのが特徴だ。
Galaxy S10+はインカメラがデュアルになっているため、Galaxy S10と比べるとやや目立ちやすいのは確かだが、これまでのシリーズよりはシンプルになっている。ただし、写真や動画を全画面表示するとどうしても一部が欠けてしまうため、この点が気になる人はいるかもしれない。
画面いっぱいに写真などを表示すると、インカメラ部分が少々目立つことも
背面はカメラだけになり、デザインがよりシンプルになった印象を受ける。これは、指紋センサーが前面に変更になったためだろう。指紋センサーはディスプレイの内部に搭載される形になり、外からは搭載されているかどうかが分からなくなった。「Galaxy S8」シリーズ以降、指紋センサーは背面に搭載されるようになったが、机やテーブルに置いたときに、本体を持ち上げる必要があり、少々使い勝手が悪かった。
これが表に戻ったのは朗報といえるだろう。しかも額縁内に搭載されているわけではないため、画面占有率を下げることなく指紋センサーが実装されている。機能性とデザイン性を両立した仕組みといえるだろう。気になる指紋センサーの精度だが、従来型のセンサーが露出したものより、やや読み取りが遅い印象を受けた。
ただし、これは、指を置く場所が必ずしも正確ではなかったためだ。きちんと指を指紋センサーが反応する部分に置けば、すぐにロックが解除される。どこに指をタッチすればいいかは画面にガイダンスが表示されるが、少々慣れは必要だと感じた。Galaxy S10+では顔認証も併用できるため、気になる人は両方とも設定しておくといい。