コミュニケーションに関して“消耗型”と“増幅型”
資金調達と並行して、社内の業務改善や制度作りもテーマでした。リスクを減らし業務をもっと効率化したい。契約書も請求書も経営管理部に投げて、僕らが書類を作ったり整理したり、確認したりするのではなくて。例えば各部署から請求書が回ってきた時、日付や金額等に間違いはないのか。また、この数字については何に使われ、それがなぜ必要だったのか。確認のポイントを作り、チェックの機能を統制して、効率的にまわるよう業務の流れを“見える化”したい。
経営陣に会社の現状についての数字を、根拠をもとに伝えるのは、経営管理部の責任です。数字の根拠をもっと詳しく示し改善策も提案できて、経営陣がベストな意思決定をくだせる、そんな支援をしていきたい。しかし――
「リーダーには“消耗型”と“増幅型”の2種類がいる。長屋は“消耗型のリーダー”になっているな」それも上司の言葉です。「例えば『自分だけでやろうとせずに、これに関してはあの人が知識を持っているから、聞いてみなよ』とか、今いるメンバーを組み合わせて、チームとしてできることを増やしていく、そこを意識してコミュニケーションをとったほうがいいよ」と。
自分の持つ知識を意識するのと同時に、まず個人の力を重視するのは会計士という資格を持つ人間の特徴なのかもしれません。でもそこに偏りすぎると、チームワークを生かすことがおろそかになってしまうわけで。
今、社内でおしゃべりができる環境作りがいささか足りていない。僕は数字を把握する部署を統括し、会社の現状を知る立場です。営業にもエンジニアに対しても、もっと躊躇なく意見を言い合える状態が作れたら、チームワークの発揮につながっていく。開発部門の人間と、進行中の研究について気軽に話ができて、それを気軽に営業サイドに伝えることができたら、ビジネスは進展します。
音声認識システムは自動運転等に搭載されたり、今後ニーズは益々高まっていきます。会社の成長に携わり自分も成長したいと、僕はベンチャー企業に転職をしたのですから。そのためには、僕のコミュニケーション不足が一つの問題で、少しずつでも解消したいと。
最初にもお話しましたが、僕は人付き合いが嫌いなわけではないんです。ただ、性格がマジメですから。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama