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極端な糖質制限に警鐘!健康医療ジャーナリストが説く「食べる順番」の重要性

2019.02.28

「糖質制限ダイエット」がブームになって久しい。ご存じの通り、糖質を過剰に取り過ぎないことはいいことだ。

しかし、極端な糖質制限信仰は、逆に健康を害し、ついには病気にかかるリスクさえあることが、今回、健康医療ジャーナリスト・西沢邦浩氏へのインタビューで明らかになった。

<健康医療ジャーナリスト 西沢邦浩氏>

早稲田大学卒。小学館を経て、91年日経BP社入社。98年『日経ヘルス』創刊と同時に副編集長に 着任。2005年より編集長。同誌を通して「デトックス(解毒)健康法」や「“代謝美人"になる方法」などを提案・発信。

08年に『日経ヘルス プルミエ』を創刊し、10年まで編集長。同誌で新たなキーワードとして「糖化」に 注目、また、忘れられかけていた「大麦」に脚光を当てた。その後、「ベジタブル・ファースト」の命名・普及、「ヘルシースナッキング」などの市場立ち上げや、各種エビデンス構築、情報発信などに関わる。2014年日経BP 総研マーケティング戦略研究所上席研究員、16年より同主席研究員。2018年4月より日経BP総研 メディカル・ヘルスラボ客員研究員。

ほかに、同志社大学生命医科学部委嘱講師、日本腎臓財団評議員、 コンディショニング研究会アドバイザーなどを務める。講演やセミナーで講師として活躍するかたわら、雑誌やWebメディアで健康コラムを執筆。近著に、『日本人のための科学的に正しい食事術』(三笠書房)。

日本人女性の「やせ」が社会的問題に

― 「飽食の国」と言われる日本で、意外にも女性の「やせ」が問題となっています。

西沢:世界的に権威のある科学誌『サイエンス』(※1)の2018年8月3日号に、『やせている日本人妊婦が未来に与える影響は大きい―』という衝撃的な記事が掲載されました。

この記事は、妊孕期の日本人女性に多い『やせ』と、やせた妊婦から生まれてくるリスクが高い低体重の子供の将来を危惧しているのです。一方、当事者である日本では、この事態に対してまだまだ関心がうすいのが現状です。

※1)Science. 2018 Aug 3;361(6401):440.

― たしかに日本では「やせ」の問題は一般的ではないかもしれません。そもそもどのような状態が「やせ」なのでしょうか。

西沢:体格指数〈BMI=体重kg÷(身長m)2 〉 が18.5 未満の場合を『低体重(やせ)』としていますが、日本人女性に多いやせでは、エネルギー摂取量の不足だけでなく、必要な栄養素の不足を伴うケースが目立ちます。

やせのリスクは本人の心身にとどまらず、妊娠・出産を通して、次世代にもさまざまな影響がでると指摘されています。特に若い女性のやせは深刻で、20 代は約5人に1人(21.7%)、30代は約8人に1人(13.4%)がやせに該当していることがわかりました(表1)。

やせることが美しさの条件? 過剰な糖質制限に走る理由

― 日本人女性がやせたカラダに憧れているのはなぜでしょうか?

西沢:ルノアールが描く美女や、ダビンチのモナ・リザに代表されるように、“名画の美女”はどちらかというとふくよかでしたよね。

ところが1960年代、イギリスのファッションアイコン、ツイッギーの華奢なカラダとミニスカートが日本人女性の羨望の的となりました。その後、アニメーションやモデル、雑誌やテレビの影響から、若い女性の間で『やせること』への憧れが広がりました。

やせている=美しい、という意識の定着が、若い女性の間での極端なダイエットにつながっています。

― ダイエットというと、最近では糖質制限が話題です。

西沢:そうですね。『糖質は太る』という思い込みやさまざまな情報から、ダイエットの手段として過剰な糖質制限をしている人もよく見かけます。

しかし、糖質制限は短期的に体重を落とせるという面ばかりが強調されていることが多いですが、そもそも糖質は人間にとって欠かすことのできない大切な栄養素。極端な糖質制限が長期的な健康リスクをもたらす場合もあることには触れていない場合がほとんどです。

病気や死亡のリスクが上がるなど、将来の健康に悪影響をおよぼすという結果が出た研究も、多数報告されているのです。

また、良好な腸内環境を維持するという観点で食事を考えることも重要です。腸内で健康維持に役立つ菌としては、ビフィズス菌や乳酸菌が良く知られていますが、こうした菌のほとんどは食物繊維を含む炭水化物をエサにして、有用な物質を作りだします。

私たち日本人は穀物をしっかり食べることで、穀物に含まれる食物繊維や、分解が阻害されたり難消化性化したでんぷんを腸内細菌のエサにしてきたわけです。

そのため、その穀物を制限すると、結果的に食物繊維の摂取量も減り、腸内細菌のバランスが崩れる危険が生じます。

そしてバランスが崩れた状態が続くと、それが全身の健康に悪影響を及ぼすことがわかってきています。

腸内環境の乱れが、心疾患や免疫力の低下に伴う疾患、そしてメンタル関係の不調に至るまで、全身の病気のリスクを高める可能性を示唆する研究が次々に発表されているのです。やはり安易な糖質制限や過剰なダイエットはおすすめできません。

― では、糖質制限に変わる、健康を意識した食べ方はあるのでしょうか。

西沢:糖質制限ではとにかく糖質をとらないことに目が向いてしまいますが、本来の目的は血糖値のコントロールにあるといってもいいのではないでしょうか。

この方法でなぜ太りにくくなるかを簡単にご説明しましょう。食事で血糖値が上がると、糖を筋肉や脂肪細胞などに送りこんで、これを下げるインスリンというホルモンが出てきます。

インスリンは、エネルギーとして使われなかった糖を脂肪として溜め込むプロセスに関わっているため、『肥満ホルモン』とも呼ばれています。インスリンの分泌量を増やすのは糖質を多く含み血糖値を急上昇させる食事です。

そのため、糖質の摂取量を抑えれば太りにくくなるというわけです。つまり、糖質制限は血糖値の急上昇を防ぐ手段のひとつであり、同じ作用が得られるほかの食事法を取り入れるという選択肢もあるのです。

では、血糖値の急上昇を抑える食事法にはどのようなものがあるのでしょうか。もちろん糖質制限だけではありません。

健康な人なら、白米に大麦や食物繊維を多く含む穀物(炭水化物)を加えたり、さらに可能なら、白米からこうした穀物に置き換えて主食にするという手もあります。また、糖質とほかの食品との組み合わせや食べ方などによっても、急な血糖値の上昇を抑えることができます。

好きな食事を無理に我慢すると、ストレスがたまり、場合によっては過食や拒食といった症状を招くことにもなりかねません。このように、自分が好きな食品やメニューと上手につきあえるコツを見つけ、取り入れていきたいものです。

「お酢」と「オイル」を活用すれば、しっかり食べても血糖値の急上昇は予防できる

― 食品との組み合わせや食べ方も大事ということで、具体的にどのような方法でしょうか。

西沢:すぐ実践できる方法として、『お酢』と『オイル』を上手に食事に取り入れることが挙げられます。お酢、オイルにはともに血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。

お酢は、食べたものの胃にとどまる時間を長くするといった仕組みで血糖値の急上昇を防ぎます。一方、オイルは糖質の吸収をゆっくりにするなど、それぞれ違った働きで食後の血糖値を上げにくくします。

― お酢もオイルも血糖値に深く関わりがあるんですね。普段の食事に取り入れるための手軽な方法はありますか?

西沢:まずはなんといってもサラダではないでしょうか。お酢とオイル、塩を適度に使うだけで、たっぷりの生野菜をおいしく食べられます。

サラダを作る際におすすめなのは『トスティング』。ボウルの内側にオイルを薄く塗ってのばし、野菜を加えてお酢と塩、こしょうをふります。野菜全体にお酢やオイルがまわるように、ボウルを両手で持って振りながらかき混ぜるトスティングをするわけです。

サラダを食べるとき、上からドレッシングをかけてもなかなか全体にまわらず、使い過ぎてしまうこともあります。しかしこの方法なら、お酢もオイルも全体に行き渡り、オイルや調味料のとりすぎを防ぐことができるのです。

もちろん、すしめしや、血糖値を上げにくい具材(きのこや海藻、豆類、ごぼうなど)を使った炊き込みご飯、オイル(油)で炒めるチャーハンなど、白米ご飯に直接お酢やオイルを使い、血糖値の上昇を緩やかにする方法もあります。

食べる順番も重要

お酢やオイルを活用するほかに、血糖値をコントロールするためにできることはありますか?

西沢:食べる順番も大切です。『ベジタブルファースト』という言葉をご存知の方もいらっしゃると思いますが、ご飯などの血糖値を上げやすいものはできるだけ食事の最後にし、食物繊維が豊富な野菜などを先にする食べ方です。

まずは野菜を食べ、おかずや汁もの、最後に糖質に進みます。野菜を先に食べると野菜の食物繊維が作用し、後で食べる糖質を吸収するスピードがおだやかになります。野菜でなくても、海藻や納豆、山芋といったヌルヌル・ネバネバしたものでもいいんですよ。

小鉢の野菜や酢の物から始まり、煮物、お魚料理、汁物、ご飯といった順番に進む、会席料理の食べ方はとても理にかなっているわけですね。特にお酢を使い、海藻や野菜も入った『酢の物』は、最初に食べることがおすすめです。

もっとも日常の食事でこういう極端な食べ方はできないと思うので、最初に一気にご飯をかきこむような食べ方はせず、野菜や酢の物などから箸をつけるようにするということを基本にしていただけばいいと思います。

―食べ方や食べる順番の工夫で健康的なカラダを目指すことができるんですね。

西沢:やせて美しくなりたいと過剰なダイエットや糖質制限をするのではなく、きちんと賢く食べること。食べ方や食べる順番の工夫で、健康的で自然な美しさを手に入れていただきたいと思います。

食事の時にするべき、3つの工夫とは?

<少量の「オイル」で満足できるサラダ作りのコツ>
西沢:サラダを食べるときに気をつけたいのが『オイル』の量。野菜にオイルがしっかり絡まないと物足りなさを感じてしまい、さらにオイルやドレッシングをかけて、うっかりエネルギーのとりすぎになってしまうことも。

野菜がすっぽり入る大きさのボウルを用意し、オイルを内側の側面に塗り広げます。その後、野菜とお酢を加えて、ボウルを両手で持ってトスティングをしながら混ぜ合わせます。オイルが野菜全体にまんべんなく行き渡り、少量のオイルでも満足できます。

<「酢の物」は食事の最初に食べましょう>

西沢:日本の食卓に昔からのぼる酢の物は、お酢が使われていることはもちろん、ワカメやきゅうりといった海藻類や野菜などから食物繊維がとれ、イカやタコなど魚介類のたんぱく質も摂取できる素晴らしい小鉢料理。まず食事の最初に食べるのがおすすめです。

<野菜を最初に、ご飯は最後に>

西沢:まず野菜を食べ、肉や魚、豆類などのたんぱく質を、最後にご飯などの糖質の順番で食べる食事法。余分な糖質や脂質の吸収をコントロールし、肥満や糖尿病など生活習慣病の予防作用も期待できます。野菜だけ食べればOK、ということではないので気をつけましょう。

<番外編:食後の血糖値の急上昇を抑えるには、「食べたらすぐ動く」が鉄則!?>

西沢:明治から大正にかけての時代、紡績工場で働く女工さんのなかには、大盛り3杯のご飯を食べていた人もいる、なんて聞くと驚きませんか?

そんなに食べても糖尿病にならなかったのは、食べたらすぐに動いていたから。食後10分間ほどウォーキングをするだけで血糖値上昇が約20%抑制されるという報告もあります。(※2)たとえば、昼食をとったら軽く散歩をする、たっぷり食べたら軽く近所を歩くなど、食後はダラダラせず、カラダを軽く動かすことを意識するといいですよ。

(※2)Diabetologia.2016 Dec;59(12):2572-2578.

構成/こじへい

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