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2019.02.18

コンプレックスによって事実を見誤ってしまう人の特徴

■連載/あるあるビジネス処方箋

 今回は、「コンプレックス」を切り口にキャリア形成を考えてみたい。私は、取材を通じて様々な企業や労働組合などを知るが、そこで得た情報などと、取材とは別の機会で目の前に現れた人が話す内容が大きく違うことが少なくない。

 たとえば、昨年、テレビ番組制作会社(社員数30人ほど)の20代後半の男性を取材した際に、あるキー局(民放)のことを語っていた。人事異動や人事評価などがいかにすばらしいか、といった内容だった。そこで正社員として働いた経験がないにも関わらず、誇らしげに語る。そして、現在、自分が勤務する番組制作会社を徹底して否定していた。

 実は、私は2015年にこのキー局の人事部を取材した。男性が語るほどの充実した態勢の新卒採用や人事評価、人事異動にはなっていなかった。むしろ、社員数が1000人をこえている割には、200~300人前後の中小企業の態勢に似ていた。

 なぜ、このようなギャップが生じるのだろうか。私は、大きな理由に男性の劣等感があるとみている。男性は新卒時にこの局の採用試験を受けたが、内定を得ることはできなかった。毎年、4000~6000人が受験し、内定者はわずか30人ほど。しかも、縁故採用者も相当数いると聞く。大多数の学生が不採用になるのは仕方がないはずなのだが、本人は20代後半になっても、その心の傷をいやすことができていないようだった。

 2002年に、関西の有名国立大学の国語学者が「言葉は思考のあらわれ」と取材時に話していた。

 たとえば、話し言葉や書き言葉はふだんから、その人が見たり、聞いたりして考えた範囲の中から発せられるという。言い換えると、日ごろ、考えたこともないことをいざ、人前で話すことはできないのだ。この捉え方を踏まえると、ふだんから、実際に働いたこともないような業界や会社、職場について詳細に語ることはまずできないことになる。ところが、前述の番組制作会社の男性社員はあたかも、キー局の内情を正確に把握しているかのように話す。この話の内容は、相当な範囲で事実誤認であったり、偏見であったりしている可能性が高い。嘘であるところもあるに違いない。

 しかし、本人は自分の話していることを「事実」として受け止め、キー局に対し、コンプレックスをますます深刻化させる。口にするということはその時点で一応は考えているからであり、曲がりなりにも「思考」になっているのだ。つまり、事実誤認や偏見、嘘を「事実」として脳が錯覚してしまうことになる。だから、現在、勤務する番組制作会社で働く自分がみじめに思える。そして、キー局の社員たちが輝いて見えてくる。たしかに、賃金などについては、30歳前後で双方は倍以上の差になることがある。40歳前後ではおそらく、3~4倍になるだろう。60歳までの生涯賃金では、その差はもっと大きくなる。双方の退職金の差は、数千万円の差にはなるはずだ。その意味では、別世界といえる。

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