
個人が自分のパーソナルデータを提供することで、ニーズに合った優遇サービスを受けられる時代がきた。その情報を預ける「情報銀行」にはさまざまな企業が名乗りを上げている。
すでに数々の実証事業が行われている中、消費者は情報銀行に個人情報を預託する見返りとしてどんなベネフィットが得られるようになるのか探ってみた。
情報銀行とは
ここで用語の確認をしておこう。「情報銀行」とは、情報利用信用銀行のことで、個人情報にひも付いた行動履歴や購買履歴などのパーソナルデータを、個人の指示、もしくはあらかじめ指定した条件に基づき、個人に代わって管理したり、妥当性を判断の上、データを他の事業者などに提供したりする事業または事業者のことだ。
個人は情報銀行に自分のパーソナルデータを預けることで、これまで見えなかった「どの企業に、自分のどんなデータが、どんな風に使われているかわからない」という不安を払拭できる。
またサービス提供側の企業は情報銀行から得られる個人の完全で正確なパーソナルデータを活用ができるようになるため、各個人に適切なサービス提供ができるようになる。
この情報銀行に名乗りを挙げているのが、次の企業だ。
●ベンダー系
大日本印刷、富士通、NEC、日立製作所、トッパン・フォームズなど
●金融系
三菱UFJ信託銀行、みずほフィナンシャルグループ、SMBCグループなど
●地域系
イオン、中部電力、自治体などの地域系企業
●旅行系
JTBなど
●マーケティング系
DataSign、マイデータ・インテリジェンス、博報堂など
すでにこれらの企業の中には、総務省の平成30年度予算 情報信託機能活用促進事業で実証事業を実施している企業もある。
例えば一般社団法人おもてなしICT協議会、広島県、慶應義塾大学などがタッグを組み、パーソナルデータを活用して、地域、ヘルスケア、観光を結びつける取り組みを行ったり、株式会社JTBや大日本印刷株式会社(以下、DNP)、上野・京都観光団体などがタッグを組み、旅行者のデータ活用によるおでかけアプリ「oide」によって次世代型トラベルエージェントサービスといった観光分野の取り組みを実施したりしている。