
最近、ユーザーが気軽に参加できる動画プロモーションをよく見かけるようになった。実際、自分で撮影した動画を投稿したり、動画をリツイートするなどしてSNSで拡散させたりした経験がある人もいるかもしれない。ユーザー参加の方法は多種類ある中、家電メーカーのハイアールがWebショートムービーのキャストのオーディションを一般公募した。この事例を中心に、ユーザー参加の動画プロモーションのトレンドをみていこう。
ユーザー参加型の動画プロモーション
オリジナル動画の配信により、プロモーションを行い、ユーザー参加を促す形はよく見られる。ユーザー参加といってもさまざまな参加方法がある。
例えば、よくあるのがTwitterやInstagramなどのSNSにおいて、ハッシュタグをつけて投稿すると、自動的にキャンペーンに参加・応募ができるというもの。これは典型的なユーザー参加型の動画プロモーションと言える。
また、ダンス動画や感動エピソード動画、我が子の日常などの動画などをユーザーに投稿してもらうというユーザー参加の形もある。サントリー「ペプシJコーラ」は、15秒動画アプリTikTokの撮影手法を取り入れて制作・配信したダンス動画を公開。それを真似した多くのユーザーがTikTok上に動画投稿したのは、2018年の代表的なユーザー参加型の動画プロモーションと言える。
ソフトバンクは2018年2月~3月に、ワイモバイル制作の「恋のはじまりは放課後のチャイムから」というドラマ動画を配信。ドラマに登場するキャラクターがそれぞれSNSアカウントを持っており、ユーザーにそのアカウントをフォローするなどさせ、ドラマの世界に入り込んだかのような気分にさせるという面白い施策を打った。これも新しいユーザー参加型の動画プロモーション事例といえる。
このように、近年は多様な形で動画プロモーションが実施されている。
SNSでリアクションしてもらうコツは「共感」
ユーザー参加を直接促すことなく、キャンペーンを実施して、自然発生的にSNSによるリツイートやシェアなどが多くされることがある。
家電メーカーのハイアールは「#恋する家電(ハイアール)」という動画プロモーションの第1弾を2018年3月に実施。有名な声優が家電役になってしゃべり、ひとり暮らしの生活にツッコミを入れるというストーリーの動画を、SNSでユーザーにリツートやリポストしてもらうなどして2週間で60万回再生、2018年12月時点で150万回再生され、拡散がされた。
ハイアールジャパンセールス株式会社のマーケティング担当者によると、SNSでのリアクションを増やすにはコツがあるという。
「第1弾の『#恋する家電(ハイアール)』プロモーション企画において、SNSでのリアクションを増やすスイッチは『共感』にあると考えました。『共感することで、ユーザーは自発的に動画に反応してくれる』ということです。そのため、大事にしたのは『共感ポイント』とそれを現実にするための『仕組み』でした。
共感ポイントについては、人気声優の起用、話題性のあるキャストの登用、キャストの個性を生かしたストーリー、誰もが経験のある『共感』ストーリー、クスリと笑えるポイント、SNS内での公式アカウントとのインタラクティブコミュニケーションなどを設定しました。そのために、動画を拡散機能(リツート、リポスト)のあるSNSを主戦場に展開しました」