
Image Credit: アップル
長らく成長を続けてきた米アップルが、現在苦しんでいる。年始には業績見通しの下方修正を発表したことにより、株価が大幅に下落した。
長らくスマートフォン業界を牽引してきた同社だが、そのビジネスの転換期がやってきたのかもしれない。
現在のアップルの問題と、今後の逆転策について考えてみよう。
減速したiPhoneビジネス
これまで、アップルの成長を支えてきたのは間違いなく「iPhone」だ。毎年販売台数を更新するiPhoneは、同社に莫大な利益をもたらしてきた。
しかし、アップルは2019年第1四半期決算にて、iPhoneの販売台数の公開をやめている。そのため正確な販売台数を知ることはできなくなったが、売上高では前年同期で15%の減少を記録している。これは、iPhoneの成長神話を終わらせるだけのインパクトのある数字だ。
アップルは顧客がiPhoneを使用する期間が伸びたことや、中国市場での軟調をその失速の理由にあげている。また、一部市場では廉価版に位置づけられる「iPhone XR」の値下げも予定されているのだ。
iPhone減速の本当の原因とは
しかし、なぜiPhoneはその勢いを失ってしまったのだろうか。他社製品に比べても割高な価格設定はもちろんその理由の一つだが、最も根深いのは「イノベーション不足により消費者の熱狂を巻き起こせないでいる」ことではなかろうか。
これまでiPhoneはデザイン性の高さだけでなく、先進的な機能を次々とハードウェア、そしてソフトウェアに盛り込んできた。2017年に登場した「iPhone X」では、赤外線による3D顔認証という画期的なシステムを採用したこともある。
しかし、近年のスマートフォンの新機能は、その多くを中国メーカーが先んじて採用している。例えば画面タッチで指紋を読み取る「ディスプレイ指紋認証」や、トリプルカメラシステムに「夜間撮影機能」など、iPhoneに足りない機能は多い。これでは、消費者の興味を喚起することは難しいだろう。