
2019年4月1日から施行される“働き方改革”ではフレックスタイム制の見直しも含まれている。働く母親など一部からは支持されているこのフレックスタイム制には実は概してネガティブなイメージがつきまとっていることが最近の研究で報告されているようだ。
フレックスタイム制は嫌われている?
フレックスタイム制で働く従業員を、ほかの同僚はどう見ているのだろうか。イギリスの勤労者の実に3分の1が、フレックスタイム制は他の従業員の仕事を増やすと見なしていて、また自分がフレックスタイム制で働けばキャリア形成の障害になると考えているという。
英・ケント大学の研究チームが2018年11月に「Social Indicators Research」で発表した研究では、2011年にイギリスで行なわれたワークライフバランスに関する調査「Work-Life Balance Survey」のデータを分析して勤労者はフレックスタイム制をどう見てるのかを探っている。
分析の結果、勤労者の35%が「フレックスタイム制は他の従業員の仕事を増やす」という言い分に同意していて、同じく32%が「フレックスタイム制で働く者は昇進のチャンスが低くなる」というステートメントに頷いていることが明らかになった。
概して男性のほうがこの2つの文言に同意する傾向が高く、一方で女性、特に働く母親については後者の文言に“身をもって”納得しているということだ。つまりフレックススタイム制で働く母親たちは自分が昇進レースの蚊帳の外に置かれていることを実感しているのである。
しかし2つの文言に同意する男性たちの多くは、実際にフレックスタイム制で働いている同僚のサポートやフォローを余儀なくされた経験があることから、フレックスタイム制は周囲に余計な仕事を増やすものであると否定的に受け止めている。
フレックスタイム制がなぜ昇進の妨げになるのかといえばやはり総労働時間の短さである。フレックスタイム制で働く者はたいていの場合で労働時間が短くなり、組織へのコミットメントが低いと評価されるのだ。
パートタイムワーカーについてはまた異なる実態がありそうだが、今回の研究は概して男性はフレックスタイム制をネガティブにとらえていて、一方で母親の多くはこうした“偏見”の被害者であることを示すものになった。働く現場に変化が訪れている一方で、まだまだ働き方に関する旧態依然たる“偏見”が特に男性の間で根強く残っているようだ。