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2019.01.21

中東の笛が味方に!?準々決勝からのVAR導入は日本に味方するか?

 UAEで開催中のアジアカップに挑んでいる森保一監督率いる新生日本代表。1次リーグは3戦全勝でグループ1位通過を果たし、いよいよノックアウトステージに突入する。

ラウンド16の相手はサウジアラビア、最終予選の借りを返せるか?

 21日のラウンド16(シャルジャ)で激突するのは、強豪・サウジアラビア。2017年9月の2018年ロシアワールドカップアジア最終予選ラストマッチ(ジェッダ)で0-1の黒星を喫している宿敵だ。
「お互いに監督もチームも変わっていると思うので、前回の試合を比較材料にするのはちょっと難しいかなと。特に僕らはオーストラリアとの試合で予選突破を決めていて、移動や気候の環境の変化もあって、短い時間でアジャストしなければいけないなどいろんな材料があったから」とキャプテン・吉田麻也(サウサンプトン)は今回と別物であることを強調した。が、その試合で決勝弾を叩き出した快足FWアルムワラド(アルイテハド)が最前線に陣取っていて、手強い相手なのは間違いない。中東でのゲームとあって、環境的にもサウジが有利と見られるだけに、日本はこれまで以上の結束力と集中力を持って大一番を戦い抜く必要があるだろう。

 今大会は準々決勝からVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)が導入されるが、このサウジ戦までは主審(レフリー)、副審(アシスタント・レフリー=AR)2人、第4の審判(フォース・オフィシャル)、追加副審(アディショナル・アシスタント・レフリー=AAR)2人の合計6人体制でジャッジされることになる。
 ゴール裏にいて主にペナルティエリア内での反則をチェックするAARが配置されただけでもかなりの前進ではあるが、やはり角度によっては見えないこともある。1次リーグの日本はその「死角」に助けられた。
 問題のシーンは13日のオマーン戦(アブダビ)での2つの判定だ。1つ目は前半27分。堂安律(フローニンゲン)が中央に持ち込んでスルーパスを出し、北川航也(清水)がGKと1対1でシュート。そのこぼれ球に原口元気(ハノーファー)が猛然と飛び込んできてDFに倒されたプレーだ。マレーシア人のイズワン主審は迷わずPKを宣告したが、リプレーを見るとファウルを受けた位置はペナルティエリアの微妙に外側。AARにも確認できない場所だった。日本はラッキーな先制点を手に入れた。
 もう1つ物議を醸したのが、前半終了間際の45分に相手MFアルヤハヤエイが強烈シュートを打った場面。長友佑都(ガラタサライ)がブロックしてオマーンのCKになったが、やはりリプレーでよく見ると完全に長友の左手に当たっている。

「腕に当たりましたよね。VARなくてよかったなってホッとしてます。結果的に『神の手』になってよかったなと。VARあったらハンドになってた可能性は高かったと思う」と本人も安堵感を浮かべていた。これまでのアジアカップで数々の不可解判定に泣かされてきた日本にとっては、「中東の笛」が追い風になった珍しいケース。だが、勝ち点1、うまくいけば3ポイントを取れたかもしれなかったオマーン側にしてみれば納得いくわけがない。試合後の記者会見ではヒステリックになるメディアもいるほど、この判定はモヤモヤ感の残るものになった。
「このような『誤審』を防ぐためにも、大会開幕時からVARを導入すればよかった」という意見を持つ人も少なくないだろう。しかしながら、アジアでは韓国、中国、オーストラリア、サウジアラビア、カタールの5カ国しかVARを導入しているリーグがなく、全試合で取り入れるだけの人的・物的バックグラウンドが整っていなかった。本サイトでは、2018年8月にVARに関して日本サッカー協会の小川佳実審判委員長にインタビューした記事を掲載している。その時点では「2019年アジアカップではVARをやらない」という話が有力になっていたのだ。

JリーグでのVAR判定導入が困難な理由

日本サッカー協会審判委員長に聞く、VAR導入にまつわるレフリーの負担

大きな大会でVAR採用を採用する難しさ

「VAR判定のスタッフは、VARとAVAR(アシスタント・ビデオ・アシスタント・レフリー)、リプレイ・オペレーターの基本3人体制。2018年ロシアワールドカップの時はVARが1人、AVARが3人(1人がAVAR、2人目がオフサイド専門、3人目がスタンバイ)、リプレイ・オペレーターが3人(1人がノーマル、2人目がオフサイド専門、3人目がスタンバイ)の7人体制を取っていました。これだけのスタッフが35台のカメラを駆使して映像確認作業に当たっていたんです。加えて言うと、ロシア大会の時はモスクワにメディアセンターを設置して、1度に4試合のVAR判定ができるような設備を整え、各会場とオンライン回線で結んでいた。テクノロジーと人材の両方が揃っていないと実施は難しかったんです」と小川委員長が説明した通り、巨大トーナメントでのVAR採用は傍目から見る以上に難易度が高いのだ。
 そのハードルを何とか超え、今回のアジアカップでのVAR導入を決めたのが、2018年9月の出来事。アジア外のメキシコ人主審を招くなどの工夫を凝らして実現にこぎつけたのだ。準々決勝以降は合計7試合で、同日ゲームでも最大2試合。時間もズレているから、VAR担当審判は1試合1試合に集中できる。「タイトル争いを左右する重要ゲーム優先」という考え方との妥協点がこのステージからだったのだろう。

 1次リーグでVARなしに助けられた日本、今度はVARの恩恵に預かれるか否か。それは21日のサウジアラビア戦の結果いかんに懸かっている。今大会から出場国が24に増えたため、ノックアウトステージ1発目はラウンド16になるが、日本はとにかくこのステージを苦手としている。
 日本は92年広島、2000年レバノン、2004年中国、2011年カタールの4度の優勝歴を誇るが、いずれもこのステージで早い段階で失点しているのだ。頂点に輝いた4回はその劣勢を跳ね返して勝ち上がることができたが、直近の2015年オーストラリア大会は準々決勝・UAE戦で開始7分に日本の天敵であるアリ・マブフート(アルジャジーラ)の一撃を浴びたことが大きな痛手になった。後半に柴崎岳(ヘタフェ)が同点ゴールを叩き出し、延長・PKまでもつれ込んだが、本田圭佑(メルボルン)と香川真司(ドルトムント)の両大黒柱が外してジ・エンド。この二の舞だけは絶対に避けなければならないのだ。
 サウジアラビアの選手は普段VARに慣れているため、逆にVARのない環境にストレスを感じるかもしれない。そんな相手の弱点を突いて揺さぶりをかけるような試合巧者ぶりも日本にとっては重要だ。そのあたりは百戦錬磨の長友や吉田、酒井宏樹(マルセイユ)あたりに期待したいところ。今回はスッキリ勝って、VAR導入後の日本と対戦国の変化をぜひ見てみたいものだ。

取材・文/元川悦子

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