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SNSで爆発的に広がった「#Me too」にみるセクハラ問題の複雑さ

2019.01.12

2018年は、セクハラ問題の複雑さが浮き彫りになった一年のように感じる。

2017年10月、「ハリウッド映画の大物プロデューサーがセクハラを行った」と、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズが報じた。このセクハラ疑惑を訴えたのはアメリカの有名女優。その後、彼女はアメリカにおけるセクハラを告発する運動「Me too運動」をけん引……したかに思われたが、事態は一変。今度は彼女が男性俳優に対して性的暴行を行った疑惑が浮上し、大きな話題になった。

この運動は日本にも上陸。多くの女性がSNSで「#Me too」というハッシュタグをつけて、自らが受けたセクハラ体験を告発するようになった。2018年の一時期、SNSは「#Me too」のハッシュタグでいっぱいになった。

社会にはびこる卑劣な行為を全員で受け止めて考えていこう、という素晴らしい運動に見えたが、その熱は長く続かなかった。ある女性作家が過去に受けたセクハラを公表して話題になったのち、今度は自身が特定の男性に対して“よろしくない発言”を繰り返していたことを指摘された。アメリカの有名女優と同じ道をたどったのだ。

そもそもセクハラは判断の難しい問題だ。その人が「不快な性的言動」と捉えればセクハラになる。「男性→女性」だけでなく、「女性→男性」、「女性→女性」、「男性→男性」のパターンもある。セクハラの基準は人それぞれなので、双方の持つモラルが大事になる。

倫理観や道徳規範に相当する難しいこの問題は、社会全体で考えなければならない。しかし上記の疑惑が浮上したことで、少なくとも日本での「Me too運動」は以前よりずっと小さくなった。社会が関心を持つべき問題が、一過性のブームのように縮んだことは残念に感じる。

世界を牛耳る金融街「ウォール街」で働く男性は、セクハラ疑惑による失脚を恐れて「女性との接触を避ける」動きが出てきたそうだ。日本社会は決してそうならないでほしいと願う。これでは根本的な問題は解決しない。

セクハラは突き詰めれば簡単だ。「自分がされて嫌なことは、人にやっちゃいけない」。小学校の道徳の授業で習ったことに従えばいい。けれども、男性社会にはびこる悪い文化と、人それぞれが持つ「性に対するさじ加減」などの要因によって、約30年前からずっと解決されないままだ。

セクハラを解決するには社会が一丸になるしかない。少なくとも「#Me too」の声を受け止めて、みんなで一緒に考える寛容な社会であってほしい。一過性のブームのようになってしまった「#Me too」運動が、セクハラ問題の複雑さを浮き彫りにした一年だった。

文=いのうえゆきひろ

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