
2018年5月25日、働き方改革関連法案の1つ、「高度プロフェッショナル制度」が可決された。この制度は別名「残業代ゼロ法案」とも呼ばれ、国会で採決される際には怒号が飛び交い、情報番組は連日この驚きの制度を取り上げた。読者も記憶にあるのではないか。
通称「高プロ」は、対象の労働者を労働時間の規定から除外する制度のことだ。アナリスト、金融商品の開発者、コンサルタントなど、年収1075万円以上の一部の高所得労働者を対象に、労働時間規制を適用しないことを定めている。つまり「成果さえ出せば好きな時間に働ける」ということを謳っているのだが、疑問の声が挙がった。
「労働時間規制をすべて適用しない」ということは、労働基準法が定める「1日8時間」という枠から外れるばかりか、労働者がいくら長時間労働をしても残業代が支払われない可能性がある。そもそも残業の概念がなくなるからだ。
また、一部のメディアや専門家が指摘しているのは、この法案が予定通り2019年4月に導入され問題なく運用された場合、今後労働者の対象枠が拡大し、一般ビジネスマンにも適用される可能性だ。今のところ「高プロ」と呼ばれているが、この制度は全労働者に関係のある問題なのだ。
※この記事は、2018年12月現在に執筆したものです。法案の内容や実施要項は2019年以降、変わる可能性があります。ニュースなどでご確認ください。
文=いのうえゆきひろ