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中小企業経営者に聞く「部下への権限委譲」によるメリットとデメリット

2019.01.04

中小企業の働き方改革をサポートする会社「あしたのチーム」では、中小企業の経営者および管理職を対象に権限委譲に関するインターネット調査を実施。

その結果、経営者は中小企業に求められるスピード経営実現のために権限委譲が必要であると考えており、また、権限委譲したことにより部下(管理職)の能力開花につながっていることなどが明らかになった。

以下でその詳細を紹介していく。

経営者から部下に委譲されている権限

Q.あなたが部下へ権限委譲している(できている)項目をお答えください。(複数回答)
あなたが会社の中で与えられている権限をお答えください。(複数回答)

※「権限委譲」とは、業務上の目標を達成するため、経営者が持つ業務上権限の一部を組織の構成員に分け与えることを指す。

経営者に対し部下へ権限委譲できている項目を、また管理職に対し会社から与えられている(経営者から委譲されている)権限を聞き、中小企業における権限委譲の実態が調査された。

委譲されている権限1位は経営者、管理職ともに1位「物品購入の決定権」、2位は経営者では「発注の決定権」、管理者では「案件の管理権限」という結果に。管理職では「1つも当てはまるものはない」29.0%と約3割が会社から与えられている権限はないと回答し、経営者と部下では「権限委譲」に対する意識やとらえ方にギャップがある可能性が考えられる。

経営者が部下に委譲したいができていない権限

Q.あなたが部下に権限委譲したいと思っているが、していない(できていない)項目をお答えください。(複数回答)

経営者に対し部下に委譲したいと思っているが、していない(できていない)項目の調査が行われた。最も多い回答は「給与額(査定)を決定する権限」(30.0%)となった。給与額を決定することは、部下に任せたいと思いながらも手放すことが難しいものだと考える方が多いのだろうか。「1つも当てはまるものはない」(50.0%)と、半数の経営者が部下に権限委譲したいと思っていることがグラフから読み取れる。

部下(管理職)が欲しいと思うが委譲されていない権限

あなたが現在与えられている権限以外で、今後あなたが欲しいと思う「権限」をQ.お答えください。(複数回答)

管理職に対し現在会社から与えられていない(経営者から委譲されていない)が、今後欲しいと思う権限を聞いた調査において、最も多い回答は、経営者が委譲したいがしていない(できていない)権限と同様、「給与額(査定)を決定する権限」(24.0%)となった。

給与額(査定)決定の権限は、部下にとっては与えてほしいものだが、経営者にとっては手放しにくく、スムーズに委譲がされにくい権限であることがわかる。

スピード経営のために必要だと思うこと

Q.あなたがスピード経営のために必要だと思うことをお答えください。(複数回答)

現在、日本の中小企業は、AI・IoT・クラウド技術などのデジタル革命への対応、慢性的な人手不足の課題に加え、労働量ではなく質が問われる働き方改革の波によって、情報伝達・意思決定を早めて業務実行スピードを上げる、「スピード経営」の必要性に迫られている。

経営者に対し「スピード経営」のために必要だと思うことを聞いた調査において、最も多い回答は「組織体制の簡素化」44.0%となった。組織体制を簡素化し、情報伝達の遅れや意思決定の遅れをなくすことが必要と考える方が多いようだ。

次いで「自分の権限をできるだけ委譲する」(38.0%)となった。部下に権限を委譲することで承認・決裁フローは簡略化されるだろう。そのため経営スピードが上がると考える方は多いのではないだろうか。また、経営者が抱える業務が減って身軽になることで、重要な意思決定に集中できるため経営のPDCA速度が上がると考える方もいるかもしれない。

権限委譲したい理由

Q.あなたが部下に権限委譲をしたいと思う理由をお答えください。(複数回答)

【1-② あなたが部下に権限委譲したいと思っているが、していない(できていない)項目をお答えください。】で「1つも当てはまるものはない」と回答した方を除く、部下に権限委譲したいと思っている経営者に、部下に権限委譲したいと思う理由を聞く調査が行われた。

最も多い回答は「部下の成長を促進するため」(64.0%)と、権限委譲したいと思う経営者の6割以上が、自分の権限を委譲することが部下の成長につながると考えていることがわかった。

権限委譲したいができていない理由

Q.あなたが部下に委譲しない(できない)と思う権限があれば、その理由をお答えください。(複数回答)

部下に委譲しない(できない)と思う権限について、委譲しない(できない)理由を聞いた調査において、最も多い回答は「その権限は委譲する必要がない(すべきでない)から」34.0%となった。次いで多い回答は「信頼できる部下が育っていないから」(31.0%)、「部下のスキルが足りないから」(28.0%)と、部下の成長度合いが権限委譲できるレベルに満たないとの回答が上位となった。権限委譲が成長につながると考えつつも、重要な権限を渡すとなると、踏み切る決意ができない経営者も多いのかもしれない。

どのような部下に権限委譲したいと思うか

Q.あなたは権限委譲を行う際、どのような部下に権限を与えたいと思いますか。(複数回答)

どのような部下に権限を与えたいと思うかを聞いた調査において、1位は「誠実だと感じる人材である」(59.0%)と、重要な権限委譲においては納得の結果となった。

2位は「『成長して欲しい』と感じる人材である」(53.0%)と、さらなる成長を期待する人材に権限という成長機会を与えたいと考える方が多いことが明らかに。また3位は「経営視点がある」(41.0%)となった。会社として利益を上げることや、自分だけでなく会社全体を見渡して考えることができる人物に権限を与えたいと考えられているようだ。

権限委譲したことによるメリット

Q.あなたが部下に権限委譲をしてよかった出来事をお答えください。(自由回答)

●経理を任せる事で本来やるべきことに時間を使えるようになった。(58歳男性/新潟県)
●ほとんどのことを部下だけで対応できるようになった。自分はジャッジをしっかりしていればよい。(56歳男性/東京都)
●より良き判断につながり、部下であっても学ばせてもらった時です。例えば、顧客対応で若い世代の取引先に適切な
 対応ができたことなどです。(58歳男性/大阪府)
●受発注業務の担当者レベルへの委譲により、作業の進行が早くなった。また、社員のコスト意識、受注金額における
 交渉意欲が高まった。(58歳男性/東京都)
●福利厚生費の予算取りを任せた結果、社内旅行も全員が参加するようになり、会社内の雰囲気が格段に良くなった。
 (55歳男性/京都府)
●権限を与えることでみんなを信頼しているということを伝えられていると思う。(30歳男性/沖縄県)
●任せた分だけ楽になれたし、任せた人はやりがいを感じてくれているように見受けられるから。(40歳男性/岡山県)
●取引先の管理を任せることで、自信がついたようだ。(58歳男性/東京都)
●私の考え方や視点を理解しようとし、実際に理解し、実践することにより、本人も新たな視点での方向性が見えてきた
 ようで、一歩次の段階へ行けた。(53歳男性/東京都)
●幹部がみんな経営者感覚を持っている。(48歳男性/埼玉県)
●責任感を持って、仕事するようになった。(44歳女性/福岡県)

権限委譲してよかった出来事としては、自分のタスクが減って社業に注力できるようになったことや、実際に業務スピードが上がったことなどが回答された。回答内容として多かったのは、権限を与えることで部下の仕事への取り組み方が前向きに変わったことや、経営視点で物事を考え判断するようになったことなど、部下の成長に関する内容だった。

【2-③ あなたが部下に委譲しない(できない)と思う権限があれば、その理由をお答えください。】 では、「信頼できる部下が育っていないから」、「部下のスキルが足りないから」が上位に挙げられたが、アンケートの回答結果を見ると、権限を与えることにより部下の成長が追い付くケースも多くあるようだ。

権限委譲したことによるデメリット

Q.あなたが部下に権限委譲をしたことにより起こった問題をお答えください。(自由回答)

●責任が重いので当初はいちいち判断を仰ぎに来て、かえって判断が遅れた。(42歳男性/愛知県)
●経験不足からくる対応の不備は、顧客に対しても迷惑をかける結果となった。(58歳男性/大阪府)
●細かいミスの繰り返しです。(59歳男性/東京都)
●部下の残業が増えた。(54歳男性/京都府)

権限委譲したことで起こった問題について調査が行われると、最初はミスや余計に時間がかかることがあったとの回答が挙げられた。しかしそれは経験不足によるものであり、改善していける問題としてとらえている経営者が多いようだ。また、「特になし」などを回答した方が66名で、7割近くの経営者が権限委譲にしたことによる問題はないと考えていることが明らかに。

権限委譲した部下の能力開花について

Q.あなたが権限委譲を行ったことで、部下の能力が開花した(成長した)と思いますか。(単一回答)

これまでの質問で、半数以上の経営者が「『成長して欲しい』と感じる人材に権限委譲したい」と答え、また権限委譲してよかったこととして、部下の意識が変わったり任せられる業務範囲が拡がったりといった回答もあった。

権限委譲をしたことで、部下の能力が開花した(成長した)と思うかを聞いた調査では、「そう思う」(28.0%)、「ややそう思う」(42.0%)をあわせて7割の経営者が「そう思う」と回答した。重要な仕事や責任ある立場を任されることで社員の能力が開花するとすれば、「権限委譲」を人材育成の方法と捉えることも可能なのではないだろうか。

人材育成(社員の能力開花)のために必要だと思うこと

Q.権限委譲を通して部下の能力を開花させるために必要だと思うことをお答えください。(複数回答)

権限委譲によるスピード経営を実現するためには、権限を適切に遂行できる社員の人材育成も不可欠。両方を兼ねて実施していくことができれば、さらなる経営スピードアップにつながる。そこで、権限委譲を通して部下の能力を開花させるために必要だと思うことについて調査が行われた。

1位は「与えた権限の遂行・成果を評価や給与と連動させる」42.0%という結果に。成果を評価や給与と連動させることで、モチベーションも緊張感も与えることができ、能力開花につながると考えるのだろうか。

2位は「多少未熟でもやる気があれば挑戦させる」(40.0%)となった。現状はスキル不足や経験不足だとしてもやる気がある社員であれば、信じて任せることで能力開花すると考える経営者が多いようだ。

権限委譲されたことによる自分の変化

Q.あなたは、権限をもらう(与えられる)ことにより、自分にどのような変化があったと思いますか。(複数回答)

【1-① あなたが会社の中で与えられている権限をお答えください。】で「1つも当てはまるものはない」と回答した方を除く、会社から権限を与えられている管理職に対し、権限をもらう(与えられる)ことにより自分にどのような変化があったか調査が行われた。

最も多い回答は「責任感が増した」(63.4%)となり、6割以上の方が権限委譲されることによりそれまで以上に責任感を持って仕事に取り組むようになったと回答した。

権限委譲されて自身が成長したと思うか

Q.あなたは会社から権限をもらったことにより、自分自身が成長したと思いますか。(単一回答)

【「成長したと思う」の回答理由】
●受動的業務から能動的業務に改めることができたから。(37歳男性/長野県)
●試行錯誤でどのようにすればもっと改善されるのかを考えるきっかけになったため。(38歳男性/神奈川県)
●成果を利益ベースで考えるようになり、行動の優先順位を見直すきっかけになったから。(45歳男性/千葉県)
●予測や推測を考え、先手を打つ事ができるようになったから。(55歳男性/大阪府)

権限をもらうことにより、自分自身が成長したと思うかを聞いた調査では、「成長したと思う」(28.2%)、「やや成長したと思う」(53.5%)とあわせて「成長したと思う」の回答割合は81.7%となった。

その理由を見ると、権限を与えられ責任が増えることにより、主体的に考えるようになり行動が変わった結果、自身の成長を実感できたという方が多いようだ。

権限委譲されたことによるメリット

Q.あなたが会社から権限をもらってよかったと感じる出来事をお答えください。(自由回答)

●顧客との商談中に即決の判断が出来るので、顧客から信頼を得ることができる。(53歳男性/山梨県)
●自分で判断する能力が高まった。(58歳男性/兵庫県)
●戦略をメンバーと決めるのは大変だったが、達成感があった。(42歳男性/鳥取県)
●今まで与えられた仕事をこなしてきたのが、自分で仕事をとってくるという責任感が増した。(47歳男性/青森県)
●支払い等の権限を与えられる事によって、責任感が増した。(43歳女性/宮城県)
●組織の人事権を与えられ、能力に合った配属をした。それにより、スムーズに営業が行われ、さらに人の成長にも
 つながった。(54歳男性/群馬県)
●営業全般の裁量を任されている。プロセスを自分で考え、成果を出す充実感を感じ、それが売上と営業利益の増大に
 つながった。(44歳男性/東京都)
●今までこうしてきたから、という理由で続けてきたことへの改革ができるようになった。(41歳女性/東京都)
●チームを効率よく動かしてワークライフバランスを整えることができた。(38歳男性/神奈川県)

管理職に対し会社から権限を与えられてよかったことは何か調査が行われた。権限に基づいて自分で判断、実行できることで業務スピードが上がったり、顧客から信頼を得ることができたりという回答が挙げられたが、これらのことで自分に自信がつくと、社員はますますやりがいを感じ、成長につながるのではないだろうか。

社員が主体性をもって業務に取り組むことで売上・利益アップも期待できる。その他、これまでの慣習の改革や、ワークライフバランスへの取り組みなど、社員に権限を与えることで、経営者が気づかなかった観点での業務改善や、手が回らなかった課題などへの取り組みも実現できるようになりそうだ。

権限委譲されたことによるデメリット

Q.あなたが会社から権限をもらったことによるデメリットをお答えください。(自由回答)

●責任や勉強することが増え、自分の業務の時間が減るようになってしまった。(46歳男性/埼玉県)
●煩雑な仕事が増え大変になった。(45歳男性/山梨県)
●責任だけが増えて給与は上がらず、上と下からの板ばさみ。(38歳男性/神奈川県)
●営業所に係る業務のほぼ全てにおいて最終的な決裁以外の権限を与えられたが、増えたのは責任と仕事量、
 拘束時間だけ。時間外手当も包括的な手当もなく、給与が上がらない。(51歳男性/大阪府)
●権限を与えられた全ての事案に関して、上がった成果が直属の上司の功績に化けてしまった。(45歳男性/千葉県)
●責任と仕事量が増えたが、業務内容を評価されていないところは残念。やって当たり前という感じが否めない。
 (37歳男性/長野県)

権限をもらったことによるデメリットは?という質問に対して、「責任と仕事が増えたのに給与が上がらない」との回答が多く挙げられた。権限を与えるだけで、権限にともなう業務や取り組み内容を評価しないと、社員のモチベーションが上がらず、個人や会社の成長につなげることは難しいのではないだろうか。

社員の成長のために必要だと思うこと

Q.社員が会社で成長するために必要だと思うことをお答えください。(複数回答)

スピード経営を実現する要である「人材育成」について、管理職に対し、社員が会社で成長するために必要だと思うことについて調査が行われた。

その結果、1位は「個人の成長に対する正当な評価」(62.0%)、2位は「目標達成(成果)に対する正当な評価」(51.0%)となった。成長し会社に貢献できるようになったことや、立てた目標を達成し成果を出したことを正当に評価されることで、社員は達成感や満足感を得ることができることだろう。

それが次のステップへのモチベーションとなって、さらなる成長につながるのではないだろうか。3位は「やりたいことに挑戦できる文化、体制」(32.0%)と、社員がやりたい仕事に挑戦できる環境も、社員の成長機会として望まれているようだ。

<調査概要>
インターネット調査
従業員数2名以上300名未満の企業の経営者で部下に自分の権限を委譲している方20~59歳、および従業員数
2名以上300名未満の企業の管理職20歳~59歳を対象に実施
有効回答数:200人(会社経営者:100名、管理職:100名)
調査実施日:2018年11月27日(火)~2018年12月3日(月)

出典元:株式会社あしたのチーム

構成/こじへい

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