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2019年の旅行動向、訪日外国人旅行者数は過去最高の3550万人へ

2019.01.01

新元号のスタートをはじめ、ラグビーワールドカップ、消費税増税、働き方改革関連法の施行など、様々な社会的影響力の大きい出来事が起こる2019年。旅行市場にはどのような変化が見られるのかを、大手旅行会社JTBがその予測を立てた。

2019年の環境

ゆるやかな景気回復の中、レジャー需要は順調に推移、消費増税の影響は、年内は軽微

旅行消費を左右する足元の日本経済は緩やかな回復が続いている。内閣府が発表した10月の景気動向指数(CI、2010年=100)によれば、景気の現状を示す一致指数は前月より0.3ポイント上がり、基調判断を「改善を示している」としている。

上場企業の2018年4~9月期決算では、過去最高を更新する企業が相次ぎ、株価も比較的高値で推移(図1)。給与所得に関しては好調な企業業績を反映して2013年から上昇を続けており、2019年も増加が期待できる(図2)。

為替は今年は大きな変動はなく、対米ドルで110円から115円の間で推移した。日本人海外旅行者数も訪日外国人旅行者数も前年を上回り、安定した景気を背景に為替はインバウンドにもアウトバウンドにもマイナスの影響はなかったと言える(図3)。

しかしながら、米中貿易摩擦への懸念から、多くの企業が2019年3月期の業績については慎重だ。また、12月の日銀短観の3か月後の先行きについては大企業・製造業がプラス15、非製造業がプラス20と悪化を見込んでおり、先行きの不透明な一面も拭えない。

2019年は、暮らしに関わる大きな出来事が控えている年になると言える。1つは5月の新天皇陛下の即位と改元、もう1つは10月からの消費税増税だ。

来年のゴールデンウィーク(GW)は即位関連行事の関係で、4月27日(土)から10連休となる。祝賀ムードとともに、レジャーやショッピングへの意欲が喚起されるだろう。10月の消費増税は税率が8%から10%となり、家計への影響が懸念される。しかしながら、食料品(外食と酒を除く)などは8%に据え置く軽減税率が設定されることや、プレミアム商品券など様々な負担軽減策が検討され、影響の緩和が期待される。

2014年4月に消費税率8%に引き上げられた際の日本人の宿泊旅行は、その2か月後から影響が出始め、冬期まで前年割れが続いた。今回の増税は10月からということもあり、年内にはあまり大きく影響しないと考えられる。

暮らし向きは長い景気回復期間で徐々に改善、旅行支出には意欲的

内閣府は、2012年12月を起点とする景気回復の長さが2017年9月時点で「いざなぎ景気」を超えたと認定した。日銀が実施している「生活意識に関するアンケート調査」の「前年からの暮らし向きの変化」について見てみると、2012年以降「ゆとりが出てきた」がゆるやかに増加し、「ゆとりがなくなってきた」は減少している(図4)。

長い景気回復期間によって、生活者にとっての暮らし向きは徐々に改善され、ゆとりが出てきたと言えるだろう。

旅行に関しては、JTBが実施したアンケート調査の「今後一年間の旅行支出について」の項目を見てみると、「増やしたい(15.9%)」と「現状維持(58.6%)」が共に前年比1.9ポイント増加し、「減らしたい(25.4%)」は、前年比4.0ポイント減少している。旅行支出には意欲的であると考えられる(表1)。

2019年のトピックス

ゴールデンウィーク10連休など「2019年限り」の祝日がある

2019年のカレンダーは、新天皇陛下の即位関連の行事により、2019年限りの祝日があることが特徴的だ。ゴールデンウィーク(GW)は、4月27日(土)から5月6日(月)まで10連休となり、10月22日(火)は即位礼正殿の儀のため祝日となる。

その他では、8月は「山の日」と日曜日が重なるため、3連休となるが、旧盆を含む夏休みに組み込まれる場合も多そうだ。9月の祝日による連休は、16日の「敬老の日」を含む3連休と23日の「秋分の日」を含む3連休との2回となり、9月に遅い夏休みをとる人も想定される。

また、2019年の年末から2020年の年始も最長で9連休と、休みが続く日並び。GWの10連休除いた週末の3連休の数は8回となり、2018年と同様だ。

2019年も引き続き企業による働き方改革は推進されると考えられ、祝日以外の休暇も取りやすい環境になることが期待される。

大型スポーツイベント「ラグビーワールドカップ2019™日本大会」開催

2019年は、9月20日~11月2日にアジア初となる「ラグビーワールドカップ2019™日本大会」が開催される。世界のトップレベルの選手の試合が日本で観戦できることで、スポーツ観戦に注目が集まりそうだ。

また、世界のラグビーファンには欧米を中心とした富裕層も多く、開催期間が長い上に、日本各地(札幌市、釜石市、熊谷市、調布市、横浜市、袋井市、豊田市、東大阪市、神戸市、福岡市、熊本市、大分市)の12のスタジアムで試合が開催されることから、地域への経済効果も期待されている。現在、公認キャンプ地も59の自治体に広がっている。

国際線の拡充

国際線の複数の路線で新規就航が予定。2月に全日空が成田~ウィーン線、3月には日本航空が成田~シアトル線の就航を予定しているほか、ルフトハンザドイツ航空とブリティシュ・エアウェイズの関西~欧州路線の拡大もあり、日本からの海外旅行者と訪日旅行客、双方の増加が期待される。

また全日空は5月に、成田~ハワイ線に総2階建ての世界最大級の旅客機エアバスA380(座席数520席)を導入。ハネムーンや家族旅行で人気の高いハワイ方面の旅行客の増加が期待されている。

LCCは、アジアからの訪日旅行者の増加を受けリーズナブルな交通手段として路線が増加し、また地方空港から直接海外につながる手段としても定着しつつあるが、2019年も新規就航による路線拡充が予定されている。

国際観光旅客税(出国税)の徴収開始

1月7日より、国際観光旅客税(出国税)の徴収がスタート。原則として航空会社や船舶会社がチケット代金に上乗せする方法で出国1回につき1,000円が徴収されるが、これによる影響は少ないと考えられている。

デジタル時代を反映し、新しい技術を活用した予約サービスや旅行体験が広がる

ここ1~2年で、AI(人工知能)やVR(仮想現実)などの新しいテクノロジーを利用した商品やサービスが次々に生まれるようになってきた。旅行の予約購入のサービスでは、AIを使った旅行相談やコールセンターでの対応などが実用化されつつある。

旅行先でVRやAR(拡張現実)などを使い、過去の街並みを体験したり、旅行の疑似体験も可能に。また、デジタルアートの広がりを受けて、地域の自然や街並みを最新のデジタル技術と融合させ、新しい魅力を提案するといった動きも増えてきそうだ。

旅行中の過ごし方の提案が増える

気軽な体験から深い学びまで、旅先での「体験」が人気で、DMOを中心とした地域発信の体験プランが増えている。専門家が案内する本格的な体験から、マッチングサイトを通じた気軽な体験まで様々なプランが登場しており、観光地ではない地域での生活文化を体験してもらうことで、地域のファンを創る動きも高まっている。

2019年、国内旅行の見通し

国内旅行人数は2億9,090万人(前年比+1.5%)、平均消費額は36,600円(前年比+2.0%)、国内旅行消費額は10兆6,500 億円(前年比+3.6%)と推計

2019年の国内旅行は、景況感が良く祝日数も増加することから、旅行人数は増加すると予測。平均消費額については、消費税の引き上げの影響と、旅行支出意欲の増加などから、昨年より増加すると推計されている。

JTBグループによる2019年の国内旅行の回数を聞いた調査において、「回数は増える」と回答した人は、15歳~29歳で22.7%と、他の世代と比べて最多に。

一方で、「回数は減る」と回答した人が多かったのは、60歳~79歳で22.1%となっています(図5)。若い世代にとって経済環境の良さや祝日・休暇の増加は、旅行に出かける後押しにもなりそうだ。

新しい劇場やテーマパークが開業 人気のテーマパークで新アトラクションの開業も

2019年は、まず2月に大阪城公園内に劇場型文化集客施設 「COOL JAPAN PARK OSAKA」の 「WWホール」「TTホール」「SSホール」が開業。3月にムーミンの世界を体験できる施設「メッツァ(metsä)」(埼玉県飯能市)内に「ムーミンバレーパーク」がオープンする。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは2019年春、パークに入るだけで待ち時間を気にせず楽しめる参加型新エンターテイメント「ワールド・ストリート・フェスティバル」を開始。東京ディズニーシーでは、新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」が2019年夏にオープン予定だ。

2020年に向けてホテル開業続く。多様な宿泊施設の登場が国内旅行の後押しに

近年、古民家や歴史的建造物を活用した豪華な宿、特徴的なコンセプトホテルなど、設備も料金も様々な宿泊施設が登場している。

2019年も星野リゾートが新たに手がける若年層向けホテル「星野リゾートBEB5軽井沢」や、ホテルオークラ東京の本館改築による「The Okura Tokyo」、外資系の「ハイアットリージェンシー横浜」、海外で人気のMUJI HOTELの日本初開業となる「MUJI HOTEL GINZA」などの開業が相次ぐ。

多様な宿泊施設が増えることで選択肢が増え、国内旅行の意欲を後押ししていくと考えられる。

2019年、海外旅行の見通し

海外旅行人数は過去最高の1,910万人(前年比+1.1%)、平均消費額は241,600円(前年比±0.0%)、海外旅行消費額は4兆6,100億円(前年比+1.0%)と推計

2018年の日本人の出国者数は、1月から11月までの累計で対前年比5.5%増の1,732万人となり、ほぼ毎月、前年同月を上回って推移した。燃油サーチャージは8月に値上げされたが、12月は据え置きに。8月の値上がり後も海外旅行者数への影響はほとんど見られなかったことから、当面、影響は限定的であると考えられる。

しかしながら、少子高齢化によりシニア層の国内旅行へのシフトと、好調な訪日旅行とのバランスから、市場は必ずしも拡大しているとは言えず、海外旅行人数は1.1%増と予測された。

GW10連休の決定で海外旅行の予約早まる

2019年に限り、GWが10連休になることで、すでに販売が始まっている旅行各社の海外旅行の予約時期が従来よりも早まる傾向が見られる。ヨーロッパなどの遠距離方面を中心に、前年同期比で2倍~5倍の予約者数となっている会社もあり、休みの調整をする必要が少ないことから、早々に旅行を予約する動きがあるようだ。

海外クルーズの人気続く

2017年の日本人のクルーズ人口は前年比27.0%増の31万5,000人で、過去最多となっている(2018年6月 国土交通省海事局発表)。

外国船の寄港も増加し、日本人の海外クルーズ旅行も定着してきた。世界周遊クルーズやフライ&クルーズ、比較的お手頃な価格帯のクルーズ旅行などバリエーションも増え、富裕層やシニア以外にも若いカップルやファミリー旅行としての利用も広がっていることから、2019年もクルーズ人気は続くと考えられる。

2019年、訪日旅行の見通し

訪日外国人旅行者数は3,550万人(前年比+12.3%)と推計

2018年は、9 月の訪日外国人旅行者数が台風や地震の影響によって前年同月比 5.3%減となり、5年 8か月ぶりに前年同月を下回ったが、10月の訪日外国人旅行者数は264万人(前年同月比+1.8%)、11月は245万人(同+3.1%)となり、1月~11月の累計では2,856万人(同+9.1%)となっている(12月19日 日本政府観光局発表)。

国別にみると、人数では中国が最多で、韓国、台湾が続く。日本を何度も訪れるリピーターの増加やLCC路線の充実により、地方空港から直接地域に入る旅行者も増えている。

2019年は、すでに成熟市場となっている中国、韓国、台湾、香港からの訪日外国人旅行者の伸び率はやや鈍化するものの、欧米や東南アジアからの旅行者の伸びが期待されることから、訪日外国人旅行者数は3,550万人(前年比+12.3%)と推計されている。

宿泊施設の多様化と民泊の利用

近年、古民家や歴史的建造物を活用した宿も増え、その地に伝わる生活文化の体験が旅行者の関心を集めている。これらの宿泊施設では、地域ならでは、日本ならではの宿に泊まりたいというニーズから、訪日旅行者の利用も増加傾向に。

2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後の訪日外国人による利用は約7割で、宿泊のスタイルの一つとなっている。

「ラグビーワールドカップ2019™日本大会」が日本各地を舞台に開催

世界のラグビーファンには欧米を中心として富裕層も多く、熱心なファンが世界各地から日本を訪れることが予想される。

また、大会の開催期間が長い上に、日本各地(札幌市、釜石市、熊谷市、調布市、横浜市、袋井市、豊田市、東大阪市、神戸市、福岡市、熊本市、大分市)の12のスタジアムで試合が開催されることから、開催地を訪れる外国人旅行者の増加とともに、周辺観光を通じた地域経済への波及効果も期待される。

出典元:株式会社JTB

構成/こじへい

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