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世代交代が進む焼酎蔵「八千代伝」が挑む原料自社生産のハードル

2019.01.02

徹底した作業の効率化

 相談役的な立場となった吉行さんは、この農業化に少々疑問を呈したという。それでも兄弟は「後発の蔵はよい原料(芋)の安定仕入れが難しい。どうせやるなら、自分たちの納得のいく芋を作り、それで勝負したい」と説き伏せた。

大次郎さん(左)と健太郎さん(右) 2018年

 そのうえで、造りに負担をかけないよう蔵の導線を徹底的に見直した。当初手作業だった瓶詰は自動化し、農作業も少人数でできるよう、改良に改良を重ねた。

 結果、以前は20人ほどで回していた蔵の仕事を製造量は変えずに8人で回せるまでに効率化。その人数のままで畑も広げ、当初3割ほどだった自社栽培芋の使用率は、2018年には9割超。そして同年、蔵を農業法人化した。

 今後さらに農業とリンクする焼酎蔵として、2019年の造りからは自社栽培の芋全量での造りが始まる。ちなみに現在の畑の広さは9町歩(東京ドーム2個分ほど)、来年は11町歩にまで広げる計画だ。

蔵の隣で芋を造る、その意味とは

 自社栽培芋を使うことで何が変わったのか。素人には分かりづらいが、圧倒的な差は芋の鮮度に表れた。

「その日の朝に掘った芋を2時間以内に加工できます。仕入れていた時は収穫から4日後くらいだったので、大きな差です」(健太郎さん)

 通常、芋焼酎造りの第一歩は原料の芋の汚れを取り、木質化したヘタの部分を切る「芋切り」を行う。ところが収穫した直後の芋は実とヘタの境がほとんどない。木質化していないので、芋切りの手間が大幅に省ける。

下の比較画像を見てもらえれば一目瞭然。洗っただけの芋の美しさがこんなに違う。

左が従来の仕入れ芋。右が自社栽培芋。

「造りは変えていないのに、大きくブラッシュアップできました。芋のふくよかな香り、甘味は向上しています」

 すっかり杜氏の顔になった大次郎さんも胸を張る。

新たな焼酎開発と直取引へのこだわり

 新しい芋焼酎のへの挑戦も意欲的に行なっている。2016年には自社栽培の紅ハルカをつるして熟成糖蜜化し、貴腐ワインをイメージした「つるし八千代伝」。翌2017年には氷結貯蔵による糖蜜化で、アイスワインをイメージした「Crio(クリオ)」を発表。業界初の試みは、多くの焼酎ファンに衝撃を与え、瞬く間に完売した。

 こうした人気の一方、焼酎の販売に関しては販売店との直取引にこだわった。焼酎ブームの際は問屋を通した取引も行っていたが、精魂込めて造った焼酎が量販店でばら撒かれるように売られた苦い経験があった。

「ブームが下火になった時に支えてくれたのは直取引の販売店でした。私達は単に売ることが目的じゃなく、自分たちの活動の信用度を高めたい。それを理解してくれる人に売ってもらいたい」(健太郎さん)

 蔵の復活、初出荷から14年。新しい技術と古き良き慣習を融合させた進化は、さらに加速を続けているようだ。

取材協力:農業法人八千代伝酒造株式会社
http://yachiyoden.jp/

文・写真/西内義雄(医療・保健ジャーナリスト)

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