人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース
2019.01.02

世代交代が進む焼酎蔵「八千代伝」が挑む原料自社生産のハードル

兄弟の新たな挑戦が始まった

 2004年末の初蔵出しから、芋焼酎八千代伝の人気は一気に高まった。自然の恵みあふれる猿ヶ城渓谷という環境。かめ壺仕込み+常圧蒸留というスタイル。麹の魔術師とも評される吉行正巳さん確かな技術と、それを受け継ぐ鮮度抜群の若い力。

 レギュラー酒の「八千代伝」(白と黒の2種)は、そのまま生で飲んでも喉を刺すことなく、華やかな香りがあり、コクやキレが絶妙。次に手掛けた限定酒の「熟柿(じゅくし)」、「千代吉」も高い評価を受け、あっという間に芋焼酎界の有名ブランドへと成長した。

2006年当時のラインナップ

 最初に蔵に入った次男の大次郎さんは吉行さんの手ほどきを受けながら杜氏の修業に励み、その技術をどんどん吸収していた。長男の健太郎さんは蔵全体の流れを学びつつ、2006年、鹿児島大学農学部に創設された焼酎製造学研究室に入り、醸造学、生物化学、品質マネジメント、農学などを仕事と両立させながら大学院まで学んだ。

吉行さんと大次郎さん(2006年)

 やがて最前線で指揮をとっていた栄寿さんは、経営と造りを息子たちに少しずつ委ねていく。社名も2005年に八木酒造合名会社。2009年に八千代伝酒造株式会社に変更した。この年の11月、杜氏の吉行さんが芋焼酎業界では初となる「卓越した技能者(現代の名工)の表彰」を受賞。
*厚生労働省リンク https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/11/tp1109-1a.html#dai14

 より一層、八千代伝酒造への注目は高まった。

お酒としてのアイデンティティ

 2010年、健太郎さんは大学院修了後、直接貿易による輸出にチャレンジし始めた。通常、小さな焼酎蔵の輸出は商社を通して行うものだが、飲み手に自分たちが作っている焼酎のことを、しっかり伝えたい。蔵がshipper(輸出者)になることにこだわった。

 およそ3年間、月に1度のペースで海外を周り、自慢の焼酎を売り込んでいく。膨大な英文の書類、難解な貿易用語。大変だったが、本人曰く「おもしろかったので身についた」。

 結果、12か国に販路を広げることに成功した。が、そこで感じたのは、自分たちメーカー側と海外の飲み手のギャップだった。数字にすると1:9ほどの開きがあると感じた。これをどうしたら埋められるのか。

「焼酎は蒸留と醸造の中間の性質があるので、どう突き詰めればよいのか。お酒としてのアイデンティティがないといけないと強く感じました」(健太郎さん)

 自ら海外の飲み手と接してきたことで気づくことのできた問題だった。

 鹿児島大学で勉強し、海外での芋焼酎に対する生の声を聞いてきたからこそ、気付くことのできた問題だった。

焼酎蔵が原料を生産することへのこだわり

「芋焼酎は造りに重きをおいています。どう貯蔵するかより、造りにこだわる。そんな話をすると、海外の人たちから共感が得られました。そういった背景を聞くと、よりおいしく感じると言うのです」(健太郎さん)

 芋焼酎=ワインではないが、原料の特性を考えるとサツマイモ≒ブドウのように感じた。また、芋焼酎は農作物のすぐ隣にあるものだとも再認識した。そこで、原料の芋作りに力を入れ、農業とリンクする形の焼酎蔵を目指そうと動き出したのが2013年頃のことだった。

 目指したのは、使用する芋を全て自分たちの手で作る全量自社栽培化だ。ワインのドメーヌのように、自社で作物を育て醸造することにこだわった。もちろん、芋の生産を行うことは、蔵全体の仕事が格段に増えてしまう。人手が足らないのにどうするのか?

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2019年5月16日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「マルチUSB付きIDホルダー」! 特集は「本当に売れているモノランキング」「勝負時計BEST 50」etc.

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。