
医師がすすめるカラダにイイこと! 教えてDr倉田
電車の中でマスクを着けている方がとても多くなりました。
車内で「ゴホンッ、ゴホンッと誰かが咳き込むと、少し冷たい眼差しが浴びせられて
周囲が急いでマスクを着け始める」という光景も見かけませんか?
「マスク、うがい、手洗い」は、風邪予防として一般的に行われますが、効果があるのはどれでしょう?
「うがい」は世界ではローカルな習慣??
子どもの頃、学校や家庭で「外から帰ったらうがいをする」ことを大人達から言われた記憶はありませんか?
実は風邪予防に「うがい」をする習慣は、日本や韓国など東アジアの一部のみで、世界ではほとんど行われていない、ローカルな習慣です。実際「うがい」に風邪予防効果はあるのでしょうか?
日本で18~65歳の387人を「水道水うがい、ポピドンヨードうがい、普通の生活(対照群)」の3グループに分けて60日間で、風邪に罹る率を比較した研究が行われました。
「水道水うがい」は、「対照群」に比べて、風邪に罹った率が36%減少していました。
一方「ポピドンヨードうがい」は、「対照群」とほぼ同一でした。
「”水道水うがい”には、風邪を防ぐ効果がありそうだが、他はどれも変わらない」という結果、驚きませんか??
九州で小児を対象として行われた研究では、「緑茶うがい」が効果的という結果も出てはいます。
「うがい」に風邪を予防する効果があるとしても、そのメカニズムは「場所」と「時間」の2点からもハッキリしていません。
まず、風邪を起こすウィルスや菌は、鼻から侵入し、鼻の奥(上咽頭)に感染するため、「(口からの)うがい」が届かない「場所」であること。
次に、ウィルスが鼻から入り、細胞に感染するまでの「時間」は「約数十分から数時間程度」で、スピードが速いです。1日にせいぜい数回程度の「うがい」が予防にどこまで役立つのかなかなか判断が難しいです。
薬局やドラッグストアなどの店頭には、何種類もの「うがい薬」が販売されています。
私の手元に、日本で販売されている代表的なうがい薬が数種類あり、全商品「効能: 口の中及びのどの殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去」と記載されていますが、どこにも「風邪の予防に効果がある」とは書かれていませんね。。
「うがいやうがい薬は効果がない」という意見もありますし、私達が子どもの頃から信じていた「風邪予防」も期待ほどには高くないようです。
私個人は、口の中をサッパリさせたい時などに使っています。さらに、食べ物を噛む力や飲み込む力が弱くなっている「高齢者」などでは、口の中を清潔に保つ方法として「うがいやうがい薬」は今でも、これからも重要な存在であり続けるでしょう。