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日本の年金制度、評価は34か国中29位

2018.11.23

年金制度は、分な資金を貯蓄できるシステムであるべき

また、ノックス博士は、年金制度が持続性と十分性を満たすだけでは不十分であると付け加えた。世界水準の制度確立のために何が必要か、という議論において新たな側面として浮上するのは、「年金制度の適用範囲」と、成人の年金制度加入率である。

「企業の年金制度へ強制的に加入させる、または自動的に加入させるシステム等を導入することによって、年金制度が幅広い労働者層に適用されている国もあります。しかしながら、世界中で人々の働き方が変化しつつある状況においては、各国の年金制度が、全ての労働者(契約社員、自営業者、および育児休業給付や障害者給付、失業給付など、なんらかの給付を受領している人々も含む)が退職後に備え、充分な資金を貯蓄できるシステムである必要があります。」と、ノックス博士は述べている。

マーサーのインターナショナル・プレジデントを務めるデービッド・アンダーソンは、以下のように述べている。
「平均寿命が伸び続ける中、各国政府は年金改革に積極的に取り組んでいます。先進諸国が、自国の年金制度が人口動態問題に直面していると認識してからしばらく経ちますが、一方発展途上国政府の多くも、自国における同様の問題が浮上しつつある現状を認識し、これに対処するための措置を講じているのは大変良いことです。こうしたアクションは、長期的に見て年金制度の持続性を向上させることになるでしょう。」

また、オーストラリア金融研究センター(ACFS) のディレクターであるディープ・カプール教授は次のように述べている。「人口の高齢化、国によっては高水準の公的債務、世界的な減税競争などにより、退職所得保障制度の改善が制限されている地域もあります。10年にわたる本調査(MMGPI)およびその関連調査で得られた独自のデータから、各国の政府関係者は、各国制度の比較を通じて今後の制度設計に関し、貴重な知見を得ることができます。」

当指数は豪州ビクトリア州政府の支援により、オーストラリアの金融サービスやリサーチの専門分野の頭脳を結集して開発されたもので、優れた退職年金(スーパーアニュエーション)や金融サービスを提供しているビクトリア州の証ともいえる。

ビクトリア州産業・雇用大臣である、ベン・キャロル閣下は以下のように述べている。「ビクトリア州は全国の機関投資家の約60%の本拠地となっていますが、この調査結果はビクトリア州の好調な金融セクターの成功を示すものとなっています。メルボルンは、誰もが認めるオーストラリアの年金業界の中心地であり、同国の主要な8つのスーパーアニュエーション基金(産業別年金基金)のうち6つの基金の本拠地となっています。そのうち上位4つのファンドは合わせて3,000億豪ドルの資金を運用しており、ビクトリア州の強力で洗練された金融サービスセクターが持続的に成功していることを実証しています。」

年金制度の展望とは

幾つかの国の年金制度においては、長期的に持続可能な制度とするために、他の国々よりも一層の急進的改革を必要とすることが明らかになった。それぞれの国が抱える独自の事情に合わせ、異なる原点からアクションを起こせば、全ての国がより良い年金制度へ移行することができる。長期的観点からは、完璧な年金制度は存在しないが、”ベストプラクティス“の原則は明確であり、各国政府は改革に必要となる政策や経済状況を検討すべきである。

より良い老後を送るという実現性の観点から、本年の指数は世界の年金制度をより深く、かつ詳細に分析している。本年は調査対象国として、香港特別自治区、ペルー、サウジアラビア、およびスペインが追加された。

評価指数は40以上の項目から構成され、それぞれ「十分性 (Adequacy)」、「持続性 (Sustainability)」、「健全性 (Integrity)」に大別され、34ヵ国の年金制度を検証している。これにより、異なる背景や文化において運営される多種多様な年金制度の国際比較が可能となる。

数値で見るマーサー・メルボルン・グローバル年金指数

2018年の指数評価から、多くの北西ヨーロッパ諸国が世界トップ水準の年金制度を構築し、世界をリードしていることが明らかとなった。オランダの総合指数は80.3で、これまで6年連続で首位を維持してきたデンマークから0.1の差で首位の座を奪った。フィンランドは総合指数74.5となり、72.6のオーストラリアから3位の座を奪い、またスウェーデンは72.5で5位となった。

「当指標は、世界の各国政府が、持続可能でかつ十分性が高い年金制度から、学び検討する際に重要な参考資料です。各国共通で適用可能な完璧な年金制度は存在しない、ということは明らかですが、同時により良い制度構築のために、共有されるべき多くの共通した特徴があることも事実です。」とノックス博士は述べている。

日本の年金制度の特徴と課題

2018年の日本の年金制度の総合指数は48.2(過去最高値)で34か国中29位、総合評価はDであった。

各項目の指数については、十分性(Adequacy)“の項目が、48.0(評価D)から54.1(評価C)に上がり最も改善がみられた。最も低い項目である“持続性”(Sustainability)も、2017年の26.0から32.4(評価E)に上がった。”健全性(Integrity)“の項目指数は、60.7(評価C+)と一昨年から変化はなかった。

マーサージャパン年金コンサルティング部門代表である北野信太郎は、日本の年金制度の評価について以下のようにコメントしている。
「2018年の日本の年金制度の総合評価は例年と同じDとなりましたが、昨年の総合指数が43.5であったのに対し、今年は48.2と、少なからず改善が見られ、総合C評価まであと少し、というところまで来ています。この要因として、年金制度への加入率の改善が挙げられており、平成30年5月まで段階的に施行された確定拠出年金 (DC) 法の改正、並びにiDeCoの普及等によるDC制度の活用が背景にあります。
しかし、現行でのDCへの拠出上限が年間66万円に抑えられていることなど、DCを老後の生活を支えるための軸として位置付けるためには、まだまだ改善の余地は残されていると考えます。

一方、今年マーサーが発表した、『健康で、豊かに、賢く働くレポート』によると、日本人の8割近くが将来の経済状況に対して不安を抱えている、という結果が出ています。中でも、公的年金の先行きに対する不安をその理由に挙げた割合が、世界全体の平均の約2倍となっており、公的制度に対する心理的な依存が垣間見えます。そのような中、リンダ・グラットン著のベストセラー『ライフシフト』の副題である『人生100年時代』が話題になったように、先の見えない不透明感の中、どのような人生の設計図を描くのか、明確な指針を多くの人が求めているように思われます。

公的年金をはじめとする社会保障制度とともに、超高齢化社会における雇用と、国・企業・個人がそれぞれ果たすべき役割についての、本質的な議論が進むこと、そしてそのきっかけとして、本グローバル年金指数(MMGPI)がその契機となれば幸いです。」

日本の制度を更に改善するために可能な対策として、以下の対策が挙げられる。

・家計貯蓄額の増加
・年金給付額の引き上げに伴う、所得代替率の改善
・退職給付の年金形式での受給を促す制約の導入
・平均余命の延びに伴う公的年金制度の支給開始年齢のさらなる引き上げ
・GDPに対する政府債務残高比の引き下げ

出典元:マーサージャパン株式会社

構成/こじへい

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