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2018.11.16

どうなる? 日本の未来「エネルギーミックス」の時代がやって来る!

 9月に地震が原因で北海道全域が停電したことは記憶に新しい。予備電源がなければ、信号も、病院の人命に関わる機材も動かなくなる。もちろん家庭の電灯や暖房もだ。そしてこの話、実は「がんばれ北海道!」と応援すればすむ問題ではない。もし他国の政策転換や紛争により、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料が輸入できなくなったとしたら? 日本全国のインフラも工場も動かなくなってしまう。

 そんな恐ろしい事態=停電を避けるための重要な施策が、今後の電力問題のキーワードとして資源エネルギー庁も推進する「エネルギーミックス」なのだ。

様々な電源の確保はニッポンの大命題

 下のグラフを見てほしい。世界各国は、それぞれ“得意なエネルギー”で電力をまかなっている。例えば水資源が豊富なカナダでは水力、イギリスは北海油田の天然ガス、中国は自国で産出する石炭、といった具合だ。しかしそんな恵まれた国々でも石炭、ガス、水力、原子力など様々な資源を使っているのは「電力はバランスよく混ぜて使うのがベスト」だから。例えば石炭は燃料費が安いが、火力を素早く調整することはできない。

 一方、天然ガスは火力の調整が比較的容易だから電力需要の増減に対応しやすいが燃料代は高い。原子力は設備にかかる費用は大きいが、運転時に二酸化炭素を出さず、燃料を数年間続けて利用できる。風力発電は夜間も発電できるが、無風の時は動かせない――。

 このように発電方法にはそれぞれ長所・短所がある。だから資源エネルギー庁は、様々なエネルギー源、火力、水力、太陽光、風力、原子力などを組み合わせた「エネルギーミックス」を進めようと考えているのだ。

 東日本大震災の直後、全国で原子力発電所が停止した。この時の日本は、火力発電所の燃料を追加輸入する際“ジャパンプレミアム”と呼ばれる割高な料金を課せられたケースもあったという。再びこのようなことが起これば日本製品の価格は高騰し、産業競争力がそがれてしまう。だからこそ、日本は平時から“どんな混ぜ具合=エネルギーミックスがベストか”を議論しておく必要があるはずだ。思えば我々は歴史的にも、オイルショックなどエネルギー問題に泣かされ続けてきたのだから……。

 

写真で解説!世界各国の「エネルギーミックス」事情

[フランス]新築されるビルの屋上や壁面に植物の植えつけか、太陽光パネルの設置を義務化

屋上を植物で覆うと、建物と外気の間で熱が伝わりにくくなるため冷暖房費が浮く。しかも、鳥が巣をかけられるなど、近隣の生物多様性の維持にも寄与するという。ちなみにフランスは左ページ上の表からわかるように、原子力発電の比率が高い。これは1970年代のオイルショック=エネルギー危機をきっかけに原子力発電が推進されているからだ。そんな中、再生可能エネルギーも積極的に活用するのは〝ほかの国に依存したくない〟と考える国民性が影響しているといわれている。

[カナダ]16万世帯の電力を供給するナイアガラの滝の水力発電

カナダは国土が大きく水資源が豊富なため、水力発電の割合が他国に比べ圧倒的に高い。水力発電は燃料を輸入する必要もなく、しかもクリーンなエネルギー。あのナイアガラの滝にも水力発電所が設置されている。

[中国]約1000㎡の広さを誇るパンダ型の太陽光発電施設

中国は石炭産出国だけに、電力を石炭に頼る割合が高いが、近年は原子力や再生可能エネルギーにも力を入れている。写真は色の濃い単結晶シリコンと薄い薄膜シリコンを使って白黒を表現した太陽光発電所。

写真で解説!日本国内での「エネルギーミックス」への取り組み

世界3位の地熱資源がある日本で最大級の八丁原地熱発電所

地熱発電はマグマで高温になった熱水の蒸気で発電に使うタービンを回すため、燃料を必要とせず発電時に二酸化炭素を排出しない。全国にある地熱発電所の電力は、日本の電力需要の約0.3%を担っている(2015年度)。写真は九州電力八丁原発電所。

発電効率世界一のギネス認定を受けた西名古屋火力発電所

日本は現在、電力の約80%を火力発電に頼っているが、技術力は高い。中部電力西名古屋火力発電所は、燃料を燃やしエネルギーの約63%を電気エネルギーにする「世界最高効率のコンバインドサイクル発電設備」としてギネス世界記録認定を受けている。

千葉県銚子沖に設置された国内初の沖合風力発電設備

風力発電は太陽光発電と異なり夜間も発電できるが、日本は設置に適した広い土地が少ない。そこで注目されているのが洋上風力発電。将来は採算ベースに乗るのではと有望視されており、写真の銚子沖以外でも大型プロジェクトが進行中だ。

JR東日本が行なった床発電システムの実証実験

改札を通過する旅客が床を踏む力を使い発電する。発電量は微弱だが、センサーなどの電力消費量が少ない機器を動かす場合は効果的ではないかと実証実験が行なわれている。JR東日本の施設のほか、サッカースタジアムに導入された例もある。

 

専門家に聞く「日本は各国の〝いいとこ取り〟で独自の供給体制を構築すべき」

日本のエネルギー事情は世界の中でも独特です。欧州各国と違って地続きの国がないため、万一の時にも他国に電力を送ってもらうわけにいきません。またエネルギー源の多くを輸入に頼っているため国際紛争などの有事にも弱い。そのためにも、日本は様々なエネルギーソースを持っておくことが大切だと考えます。IoTやAIの普及により、1人当たりの電力消費量はさらに伸びるはず。日本は固有の特徴に合った、火力・再エネ・原子力などによるバランスのいい「エネルギーミックス」の実現により、国民が安心して暮らせる答えを見つけるべきです。

早稲田大学教授
中林美恵子先生

米連邦議会に日本人初かつ唯一正規採用され米国公務員となった人物。帰国後、衆議院議員としても活躍。

構成/編集部

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