■「気・血・水」の3つのバランスが正常になれば肌トラブルや病気も改善される
冒頭で荒浪ドクターは、乳幼児や大人のアトピー、ニキビといった肌トラブルに悩まされていた患者が漢方治療によって治った症例を紹介。ほとんどのケースがステロイドなどの塗り薬で症状を抑えていたものの、ステロイドが効かなくなったり、ステロイドを続けることに不安を感じたり、民間療法やエステでも改善されずに、最後の手段として漢方治療の相談に来たというパターンが多い。
「漢方医学では、皮膚のトラブルは体内の不調サインのひとつという考え方なので、体内の内蔵の不調を漢方薬で治すということになります。つまり症状を外側から抑えるのではなく、体の内側の不具合の原因を取り除くということです」
漢方医学でいう内蔵とは「気(き)・血(けつ)・水(すい)」と「五臓」を指すが、特に「気・血・水」のバランスが健全であることが体にも肌にも健康でいるために最も重要なことであるという。
「気」とは生命活動の根本的なエネルギーのことで、文字通り気を病むと病気になるし、気が弱くなると無気力になる。「血」は血液で、成長ホルモンなどの様々なホルモンも含む。「水」は体液を表し、外敵から守るためのリンパ液も含まれる。この3つが順調に体を巡っていれば健康でいられるという考え方で、現代医学的にいうと、気は自律神経系、血は内分泌系、水は免疫という解釈だ。
「気・血・水」は互いに影響しあっていて、3つのバランスが崩れると様々な病気を引き起こす。漢方では「気・血・水」のそれぞれを治す薬に分けられ、「気・血・水」のどの異常がその病気を引き起こすかを医師が見極めて、処方した漢方薬を服用して治していく。
「同じ漢方薬でいろいろな病気を治せるので、西洋医学の観点から見れば違和感があるでしょうが、漢方医学では当然のことです。逆に西洋医学から見て同じ病気でも、原因が違えば飲む漢方薬は異なることもあります」
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