
■連載/ゴン川野のPC Audio Lab
Introduction
JVCケンウッドは2018年10月18日におこなわれた発表会にて、VictorブランドのハイエンドモデルVictor『HA-FW10000』を発表。発売は11月上旬予定、オープン価格で予想実勢価格約18万円の高額イヤホンとなった。また頭外定位音場処理技術「EXOFIELD」を使った音場特性カスタムサービス「WiZMUSIC」に使用されたヘッドホン『HA-WM90』の単体発売をおこなうことも発表、価格は約35万円になる見込みだ。ウッドコーンを使ったWOOD CONEオーディオシステムに関しても、2019年2月にVictorブランドの新製品が登場予定。
Report
『HA-FW10000』のウッド振動板はドーム型で、わずか50μmの厚みしかない。これにカーボンコーティングしたPET(ポリエチレンテレフタラート)振動板と組み合わせている。エッジに近い部分はより薄いPETで反応速度を上げ、中心部は響きの美しいウッドを使っていると思われる。ドライバーケースは軽くて剛性の高いチタニウム合金を採用している。
ハウジングは国産のカエデを無垢材から削り出し、漆職人による多層塗りで仕上げられている。MMCX端子はハウジングと分離して、ハウジングのより理想的な音響特性を追求。ノズルはステンレスで、イヤーピースはスパイラルドットイヤピース+という新型を採用した。ケーブルは絹を組み合わせることでしなやかさを出した専用品が付属。
Victorブランドの製品はソフトとハードの両方を制作しているVictorの強みを生かした、原音探求を目指す。原音とは音楽性制作現場、すなわちVictorStudioで再生された、ミュージシャンが表現したいと思った音楽を意味する。素材にウッドを使うのは、スピーカーは楽器でありたいという思いから。ウッドの響きを音楽に付け加えるのではなく、音楽に含まれる響きをウッドコーンで再現するのが狙いだという。
Victorブランドのトレードマークであるニッパー犬が入ったプリントされたイヤホンのハイエンドモデル『HA-FW10000』。
ケーブルはMMCX端子を採用してリケーブル対応。左右分離型の撚り線構造を採用。しなやかで滑りにくい感じ。イヤホンはシュア掛けで装着する。
試聴コーナーではハイレゾ音源を入れたDAPをJVC『SU-AX01』にアナログ接続して再生。なめらかで量感のある低音が特徴的だった。