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話題の「分子ガストロノミー」発祥の秘密

2018.10.31

 外食業界が諸手を挙げて分子ガストロノミーを推したのは、それが、高級レストランが高い料金を取るための恰好の手段だったから。それともう一つ、当時フランスで起こった料理界の「働き方改革」で、コック見習いたちの労働時間が週35時間までに制限されたため、長年の修業で培われる経験や勘がなくても、正確な手順を踏めば誰でもおいしい料理が作れる調理法の開発に迫られた、という事情もあります。

 おかげで、欧米には、厨房と別に「実験室」を持ち、試験管を食器として使い、昔みたいに頻繁に味見をしなくなったせいかシェフが痩せている分子ガストロノミー店が続々誕生。その反動から、「大事なのは、素材への敬意」とか「なんやかんや言っても肉は炭火で焼くのが一番」などと主張する地産地消の自然派も台頭(03年、04年に「世界のベストレストラン」で1位になったカリフォルニアの『フレンチ・ランドリー』は、自身の農場で野菜を育てており、その代表と言えましょう)。やがてフェラン・アドレアも、分子ガストロノミーが金儲けの道具に使われることに嫌気がさし、より広い社会貢献をしたいという意向から、2011年に店を閉め、今は政府と組んで、病人や幼児がおいしく食べられる料理の研究をしていると聞きます。

 エルブジで働いたことあるデンマークの料理人レネ・レゼピ(1977〜)が2003年にコペンハーゲンに開いた『noma』は『エルブジ』同様、実験室を持ち、分子ガストロノミーを駆使しながらそれをことさらウリにはせず、分子ガストロノミーも自然派も止揚した「イノベーション」を謳って、2010年から「世界のベストレストラン」で4回首位を獲得しました。そのため、『noma』以降は「分子ガストロノミー」より「イノベーション」という言葉のほうがよく使われているようです。

 ところで、分子ガストロノミーの料理人の誰もがリスペクトしているのが和食です。彼らはこぞって日本を訪れ、発酵とか天日干しとかいった日本料理の技術を学んでいきました。その上、分子ガストロノミーには、ピンセットを操る器用さと、加熱時間や食材のサイズを正確に計る几帳面さが求められるため、器用で几帳面な日本人の料理人は大歓迎。おかげで、欧米の分子ガストロノミーの店の厨房にはどこも日本人がいるようになり、彼らが技術を日本に持ち込んだため、日本でも分子ガストロノミーの店が爆発的に増えました。

 ただ、欧米の分子ガストロノミーの店は、厨房がだだっ広くて、スタッフの数もやたら多く、彼らは経験も勘もない分、完全分業制を敷いて、みんなで一つの皿を寄ってたかって調理しているのに対し、日本の店は広さもなく人数も少ないので、一人のシェフが経験と勘で作っている、というのが実情のようです。

分子ガストロノミー表

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