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2018.10.19

2019年の注目キーワード「ストーリージェニック家電」、ヒットに必要なのは「物語」!?

 インスタグラム等のSNSの出現により、元はカメラマンなどマスコミ関係者が使っていた「フォトジェニック」という言葉が市民権を得て久しい。しかし、ビジネスの最前線ではさらに新たな言葉が広まろうとしている。

 それが“ストーリージェニック”。説明するより具体例を挙げる方がはやいだろう。

 例えば、オーダーメイドジュエリーブランド「K.uno(ケイ・ウノ)」が展開する、自分の手で結婚指輪・婚約指輪をつくれるサービスだ。道具を借り、プロの職人のサポートを受けつつ二人が一緒につくるもので、指輪は誰がつくっても指輪だが、“僕たちが一緒につくった”というストーリーにお金では買えない価値がある。さらには、町おこしを手がける会社「ディスカバーリンクせとうち」(尾道市)の「尾道デニムプロジェクト」の成功例も興味深い。地元の漁師さん、大工さん、農家の方たちなどに1年間デニムを履いてもらい、仕事などで色落ちしたものを一般顧客向けに販売した。元々、中国地方は生地の産地で、このプロジェクトも地元の産業を盛り上げるために行われているというストーリーもある。すると……驚くことに、誰かが履いた2万2000円のジーンズが倍を超える4万8000円で売れた。

 そう、現代の消費者は商品の背後にあるストーリーも込みで何かを買うのだ。そして、商品に込められたストーリーは、買ったユーザーの「こだわり」や「愛着」や「問題意識」なども映し出すから、時にSNSで拡散されていく――。

 実は家電の世界でもこの動きが広がりつつあった。

これが“ストーリージェニックなコーヒーメーカー”。TWINBIRD「全自動コーヒーメーカー CM-D457B」

“レジェンド”のために費やした2年間の「物語」

 仕掛けるのは、東証二部上場のツインバード工業だ。社長・野水重明氏は、2016年、社員に驚くべき提案をした。「世界で一番おいしいコーヒーを淹れられるマシンをつくろう!」と言いだしたのだ。野水氏が話す。

「単に“コーヒーを淹れられる”商品は市場に溢れています。価格もコモデティ化していくでしょう。そんななか、どう差別化していくかを考えたんです」

 彼がいたずらっぽく笑う。

「これほど思い切った提案は、社長がトップダウンで言いださなければ実現できないでしょうからね。みんな、聞いた時は“本気なのか?”と驚いたんじゃないでしょうか」

 社長直々にムチャを言われた企画担当・岡田剛氏に話を聞くと、彼は狙い通り「本気ですか!?」とずっこけたらしい。だが、胸を張って“世界一!”と言える商品ができたら、確かに他社商品とは差別化できるはずだ。彼はコーヒーに関する書籍を読みあさり“世界一”の根拠を探すうち、ある名前に目がとまった。

「何度も、カフェ・バッハの田口護さんという名前が出てきたんです。調べると、お店は東京の南千住にあり、“東京珈琲四天王”の一角と言われていました。また、沖縄サミットの折には、世界各国の首脳に田口さんのコーヒーが振る舞われたらしいんです」

 田口氏には多数の逸話があった。コーヒー嫌いで知られる米国・クリントン大統領もおいしさに感動した、ブルーボトルコーヒーの創業者ジェームス・フリーマンもカフェ・バッハが好き、お客さんの間では“コーヒーのレジェンド”と呼ばれている……。岡田氏は田口氏を訪ねることにした。これだけの実績を持つ人物が監修したコーヒーメーカーであれば“世界一”と名乗ってもいいだろう。ただし、田口氏に断られたら“世界一”は名乗れない、とも思った。だから岡田氏は、有り得ないほど入念な準備の上で南千住に向かった。

「田口さんの本を熟読し、先に試作機をつくったんです。“お湯の温度は83度”、“ミルでコーヒー豆を挽く場合は粒度(粒の大きさ)が揃うように”といった、田口さんの教えをできる限り実現したものでした」

 そして緊張の初対面……頑固な職人肌の田口氏は、岡田氏の情熱にほだされ快く協力を約束してくれた。ただし、初号機の評価は「まだまだです」。その後、岡田らは1年間かけ機械を一からつくりなおし、田口氏が納得するマシンを開発していく。

「コーヒーの粒を揃えるため、ミルの材料、設計、強度を幾度も変えました。お湯の注ぎ方をレクチャーしていただき、6方向からシャワーのような形でお湯を注ぐ機構も実現しています。難しかったのは、コーヒー豆を蒸らすときに発生するガスが上手に逃げてくれるよう、ドリッパーの内側にある突起部の形状を何度も試したことですね。田口さんはいまさらお金や名声で動く方ではありません。我々は、レジェンドに“うん”と納得していただく、それだけを目標に、技術者と顔をつきあわせて改良を続けました」

カフェ・バッハの田口護氏がコーヒーを試飲する

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