配置の問題、そしてそれを超えて!
このドア、外側から見ると、右開きの引き戸(サウナのドアは、基本的に全部、外からの引き戸だけど)になっているのだが、そのドアの外側のすぐ右側に、かけ湯の浴槽がある。
このかけ湯の浴槽があることで、サウナ室を出入りする時、ドアを大きめに開けなきゃいけなくなっちゃってるのだ!!
分かりにくいと思うので、ここで簡単な図版を入れます。
一目瞭然でしょ? ドアのすぐ近くにこの障害物(あえてこのかけ湯浴槽をそう呼ぶ)が、もしなければ、ドアをちょっと開けただけで、スルッとドアの右側から入れるし、出る時も図の右の方向にスッと出ることができる。
おまけにもともと人の出入りが激しいサウナ室。たとえば中の人が出ようとドアを開けようとした時に、たまたまドアの外側に入ろうとする人がいたりすると、ドアが中途半端に開いたまんま、外の人が、
「あ〜すいません」
なんつって後ずさりして、その後ずさりするスピードに合わせてゆっくりドアを大全開して、それで中の人が出ようと思っても、外の人とぶつかりそうになって、右行こうとしたら外の人も右行って、左行こうとしたら向こうも左行ってみたいなことがあったりして、それでやっと二人が入れ代わって……この間ドアはズーッと大きく開きっぱなし!!
そんなことがもうしょっちゅう!! これはヌルくなるのも仕方ない!
サウナの出入りが多く回転率が高くて温度が上がりにくいってのは、人気のある施設ならばしょうがない。でもそういう施設だからこそ、回転率が高い状態でもなるべく熱さをキープする工夫というか設計をしなきゃいけないんだなァ〜。色々大変だなァ〜サウナ作る方も。
サウナ室から水風呂への動線に関してはよく語られるけど、それ以上にドア回りの設計もこれから語るヤツが出て来るかもしれない。面倒くさいからオレはしないけど。
でもそんなことより気付いた! サウナ室の入口、これ自体も今のドアのスタイルでいいんだろうか? 常時ロウリュができるフィンランドのデザインそのままでいいのか?
もともと日本の銭湯は、湯船というか水深30センチくらいの浴槽というか蒸し風呂に入る入口にこだわっていたんですよ。引き戸だった戸棚風呂じゃ熱気が逃げるっていうんで、ついに江戸時代に開発されたのが石榴口なワケですよ。
そんな石榴口を超える、なにか新しい入口ってこれから開発できないもんか? 日本のスタイルのサウナに合った、日本独自の熱気の逃げにくいドア!! いや〜これはメーカーの皆様、ぜひとも考えていただきたいなァ〜、いやマジな話……。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。