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お金持ちと一般人を分ける考え方の違い

2018.09.21

富裕層は強制されることを嫌う

 再び「金持ちの考えることは分からない」という慣用句が口にされるタイミングには、セレブによる巨額の寄付がニュースになった場合なども挙げられてくるだろう。

 寄付や募金などの活動は、経済合理性の観点に立てば言うまでもなく非合理的な行為である。しかし純粋な人助けの気持ちから寄付をすることもあるだろうし、打算的ではあるが寄付行為によって名声を得て社会的利益に繋がったりするケースもある。そしてやはり富裕層の寄付行為は、我々一般人とは異なる動機によって行なわれていることが最新の研究で指摘されている。

 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学とアメリカ・シカゴ大学の合同研究チームがこの3月に社会心理学系ジャーナル「Journal of Experimental Social Psychology」で発表した研究では、富によって分類されるそれぞれの社会階層によって、自己認識が異なっていることが突き止められている。この自己認識の違いによって、富裕層と低所得者では寄付や募金への動機が異なっていることが浮き彫りになったのだ。


Scientific American」より

 研究ではいくつかの実験が行なわれている。最初の実験では絶対的貧困の撲滅を目指すサイト「The Life You Can Save」の訪問者の協力を仰ぎ、収入などの個人情報を提供した185人(女性58%)のオンライン行動を分析している。同サイトには2つの記事が掲載されているのだが、ひとつの記事ではいかに個々人の行動が貧困の撲滅に繋がるのかが力説された“主体的(agentic)”な記事になっている。対照的にもう一方の記事は、貧困の撲滅のためにいかに人々の協力と連携が必要であるのかを説いた“公共的(communal)”な主張になっている。そしてそれぞれの記事を読んだ直後の人々のネット募金行動の状況を追跡したのだ。

 収集したデータを分析した結果、裕福な人(年収1000万以上)は“主体的”な記事を読んだ後にネット募金をする傾向が強くあらわれ、裕福ではない人(年収400万円以下)は“公共的”な記事を読んだ後に募金する人が多かったのだ。

 2つめの実験は、カナダ・バンクーバーにある科学ミュージアムの訪問者474人に参加してもらい、それぞれの経済状況を申告してもらった後、最初の実験と同じように2つの記事のどちらかを読んでもらった。そしてその後、もしロトくじで100ドルの賞金を獲得した場合、どれほどの額を寄付するかを聞かれて回答したのだ。

 このケースでもやはり、裕福な人で“主体的”な記事を読んだ人が最も寄付の額が高く、賞金全額の100ドルやそれに加えて私費を投じる人も少なくなかったということだ。やはり裕福な人と、裕福でない人とは寄付行動における動機が違うことが示唆されることになった。富裕層は“主体的”な募金活動を呼びかける声に強く反応して気前良く募金をすることが確かめられたのだ。

 以前の研究なども参照して考察すれば、裕福な人は自分をコントロールできるという自己認識が高く“主体性”に任される判断を重要視するということである。つまりどことなく募金を強いるようなニュアンスがある提案を嫌い、完全に自分の気持ち次第でできる判断を好むのだ。

 一方で裕福でない人が募金をする動機は、社会との繋がりを求めてのことであり、その意味で往々にしてほかの人々にも募金を呼びかけるようにもなる。

 こうした知見は穿った見方をすれば富裕層向けビジネスに応用できるものにもなるのかもしれない。つまり富裕層は「多くの人がやっていること」にあまり興味がなく、あくまでも自分が納得できるかどうかなのであり、富裕層向けビジネスでは主体的な判断に働きかける説得力が求められることになるのである。

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