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2018.09.20

「採用氷河期」の優秀なミレニアルズを獲得するには?

 前回の記事で、博報堂ブランドデザイン若者研究所・リーダーの原田曜平氏が『若者がわからん! ミレニアル世代はこう動かせ』(ワニブックスPLUS新書、2018年)で、<「若者」に対する社会的関心が急激に高まっていると強く感じる>(P.003)ことが、執筆の動機であることを紹介した。

 この本は、若者を「消費者」「採用対象者」「育成、管理対象者」という3つに大別する。そして、「採用対象者」「育成、管理対象者」として若者に焦点を当てている。広告代理店に所属する原田氏からすれば「消費者」としての若者を研究することが専門領域であり、過去の著作も、そうした視点のものが多い。そして、原田氏自身も「採用対象者」「育成、管理対象者」の若者について書くことを、あえて避けてきた。その理由を、3つ挙げる。

マーケターが書く人材・労務戦略本

 このテーマに乗り気になれなかった一つ目の理由は、私が研究者でありマーケッターだからだ。

「消費しなくなってきている若者にどうマーケティングすれば良いか--」といった趣旨の本であれば、それはダイレクトに私の専門領域の話だし、すでにこうした類の本を私はたくさん世に出してきた。

 しかし、「労働者としての若者」ということになると、世の企業には人事部という専門組織があるし、人事コンサルタントといった職業もあり、私がこのテーマを語るのはややお門違いかな、という気持ちがあった。

 二つ目の理由は、私は会社に入ってからほぼ毎日、合計一万人を超える若者たちと接してきたが、“これまでは”彼らとの付き合い方に悩んだり苦労したりすることがあまりなく、こうしたテーマの本の需要を個人的に実感することができなかったからだ。

 私は大学を卒業してからずっと若者と接し続けており、さらには仕事として若者を研究し続けてきたこともあり、若者たちへの違和感をあまり感じずに過ごしてきたのだろう。

 三つ目の理由は、日本の会社組織では、上司であるおじさま・おばさまたちが「若者の気持ちを理解できるようになりたい」といくら言ったところで、実は大して本気ではない場合が多いのではないか、という疑念があったからだ。

 なぜなら、大半の日本企業はいまだに(暗黙の慣習を含め)ある程度年功序列システムをとっている。上司が若者の気持ちを理解できようができまいが、最終的には上司や先輩が「やれ」と言えば、若者はこれに従うしかない。

(中略)

 むしろ上司とうまく話を合わせるために、若者がおじさま、おばさまを理解しようとしていたケースのほうが、これまでの日本企業においては一般的だったろう。(同書P.008~P.011)

 では、なぜ彼が、「採用対象者」「育成、管理対象者」としての若者について書く気になったのか。それは「採用氷河期」とも言われるほど、企業が若者を採用することが難しくなり、それが社会問題化してきているため。少し見方を変えると、従来の企業で労務管理や採用を行なっていた人事部や、人事コンサルタントなどの専門家では、ミレニアルズが手に負えなくなってきているからだろう。そこで、「消費」という少し違った切り口ではあるが、過去の著書を読むと、ミレニアルズのインサイトについて詳しい原田氏に聞いてみよう、というニーズが増えている、こんな想像が膨らんでくる。

 第1章は、いま企業が直面している様々な課題が紹介されていて、マクドナルドの24時間営業店舗の縮小やロイヤルホストの24時間営業中止、ファミリーマートの24時間営業の見直しなど、さまざまな業態で、人材不足が深刻になっていることが紹介されている。どの事例も、耳にしたことがある内容かもしれないが、「ミレニアルズ」という補助線を引いて改めて考えてみると、これが構造的な問題であるうえに、企業は「ミレニアルズ」に関心を持たないと、今後の企業活動が立ち行かなることに気づくのではないか。

「ミレニアルズ」の話が、従来の世代論と大きく異なり、ただの世代論でないことは、「消費者」としてだけでなく、「労働者」「生活者」として、彼ら彼女らを捉えなければ、大きく判断を誤ることになることだ。この点を、原田氏の書籍は浮き彫りにしていると思う。

 第2章では、採用したミレニアルズに困っている大人世代の目線で、具体的な事例が豊富に紹介されている。会社の都合よりも自分の都合、夜の付き合いが悪い、表面上は従うが動かない、仕事に対する熱意が感じられないなどだが、このパートは、意図的に読者の共感を誘っている内容なので、読者は注意して読む必要があるだろう。これをうっかり読むと、「やっぱりミレニアルズは~(ネガティブな内容)」という感覚を深層意識から呼び起こし、納得してしまうからだ。むしろ、自分が、こういうミレニアルズから、どう映っているか反省的な視点で読む必要がある。

「好かれる上司、嫌われる上司」と題された第3章も同様。“ミレニアルズあるある話”ではなく、自分の行動と照らし合わせながらのほうが有益だ。

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