
2007年にiPhoneが登場して以来、ユーザーへ数々の感動を与えてきた。ファンの心をつかんで離さない理由のひとつに、ユーザー目線に立った利便性が挙げられるだろう。
そして、この利便性が、今までスマートフォンとは縁遠かったかもしれない視覚障がい者にも届こうとしている。ソフトバンクの視覚障がい者向けiPhone体験教室がその礎になるかもしれない。
視覚障がい者に使い勝手のよいiPhone機能とは?
この体験教室が開かれたのは、日本点字図書館。その一室に足を踏み入れると、スタッフの皆さんの挨拶の声が届く。来場者も挨拶を返し、なんだかアットホームな雰囲気に満ちている。ちなみに、来場した視覚障がい者のほとんどがフィーチャーフォンを使っており、スマートフォンにはなじみがないとのこと。
まずはiPhoneならではの会話対応機能「Siri」の使い方から。
視覚障がい者は画面表示の正確な場所がわかりにくく、操作しづらいという現実がある。そのため多くの人がスマートフォンを敬遠しがちだ
そこで、iPhoneに搭載されている「Siri」の機能の1つ、「VoiceOver(ボイスオーバー)」を活用する。ホームボタンを長押ししながら「ボイスオーバーオン」と告げて機能を立ち上げると、アイコンをタップするたびに、それが何のアプリなのか言葉がガイドしてくれる。
「ボイスオーバー」の使い方を一通り学んだあとは、iPhoneを使いこなすため、スクロール、タップ、ホームボタンなどの基本操作を学ぶ。
基本操作だけでなく、iPhoneアプリには、視覚障がい者の生活を便利にするアプリがいくつもある。この体験教室で取り上げられたアプリをいくつか、ご紹介したい。
1.TapTapsee(タップタップシー)
画像認識カメラアプリで、様々な物や人を画面に投影するとそれが何なのか音声で教えてくれる。実際に会場で配られていた花を投影すると、「花」と読み上げられた。
2.言う吉(きち)くん
お札を画面に投影すると、何円札なのか教えてくれるアプリだ。視覚障がい者にとって、硬貨は触ることで金額の判断しやすいが、お札の場合は触れただけでは判別が難しいため、このアプリが開発されたという。
3.UDcast(ユーディーキャスト)
視覚障がい者や聴覚障がい者が映画や博物館などを楽しめるように、字幕表示、音声ガイドなどのサービスを利用できるアプリ。このUDCastに対応する映画や博物館施設などとアプリを同期させることにより、サービスが利用できる。教室では実際に対応した映画『絵の中のぼくの村』を上映し、音声がシーン描写などを伝え、セリフ以外の演技も音声で伝えられていた。