中小規模の店舗でも破格の条件でサービスを導入できる戦略
実店舗がキャッシュレスサービスを導入しようとした場合、新たな決済端末や決済サービス事業者との契約締結、決済手数料の支払いといったコストや手間が発生する。したがってAmazon Payに限らずクレジットカードや電子マネー決済導入に踏み切れなかった中小企業が120万社以上存在するという。キャッシュレスが手付かずだった市場にもアプローチする戦略が立てられている。
実店舗で利用するAmazon Pay用の決済端末はNIPPON Tabletという会社が提供する。この会社はNIPPON PAYという会社の100%子会社。NIPPON PAYはAmazon Payの公式認定制度パートナーであり、戦略的にAmazonとAmazon Pay拡大に向けて取り組んでいる。NIPPON PAYが決済ソリューション開発を担当し、NIPPON Tabletがそのソリューションを組み込んだ端末を実店舗に提供する役割分担となっている。提供する際にかかる手数料や初期費用が破格の条件となっているのがポイントで、これによりキャッシュレス決済が未開拓であった120万社以上の市場に切り込んでいけるという。また切り込んだ結果、Amazon Payが利用可能な実店舗が急激に増え、Amazonのキャッシュレスインフラが形成されることになる。
記者発表会で同時登壇したNIPPON PAY 代表取締役社長 兼 CEO 高木氏
■NIPPON PAYとNIPPON Tabletの役割の違い(記者発表会スライドより)
NIPPON PAYが決済事業者との接続を行い、NIPPON Tabletが店舗向けの決済端末を提供する。
■120万店舗がキャッシュレスサービスを導入できない理由(記者発表会スライドより)
高木氏はキャッシュレスサービスを導入できない中小規模の店舗を「レジ未更新市場」と定義し、レジ購入代金が高価であること、売上金回収が遅いこと、決済手数料が高いことの3つを原因と分析している。
■NIPPON TabletでAmazon Payを導入する場合の特徴(記者発表会スライドより)
上記原因を踏まえ、決済手数料は2020年末まで0%、決済端末は無料レンタル可能でAmazon Payを導入できるようにしている。2019年からは売上金の最短翌日入金サービスも提供がはじまる。レジ未更新市場の取込に余念がない条件だ。
まとめ
Amazonによるキャッシュレスサービスが始まったインパクトは大きい。キャッシュレスサービスを使おうとしたときに、新たなアプリをインストールしてサービス登録するのは手間がかかる。一方Amazon Payであれば普段スマホでネットショッピングするときに使うアプリで決済できる。ひとたびAmazon Payによるプラットフォームが形成されれば、日本でのキャッシュレス決済利用者が爆発的に増えるかもしれない。
取材・文/ぺったん総研
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