
犯罪者は、ウソをついて自分の身を守ろうとする。それゆえ、取り調べを受けながら、さまざまなウソをつく。刑事はウソかどうかを見極める必要があるため、ウソを見抜くスキルが自然と身に付くようだ。そこで、元刑事で、現在は「刑事塾」というセミナーを開催する森透匡氏に、刑事時代に培った知見と技術を元に、犯罪者の決定的な言動について教えてもらった。
集めたウソのサイン
かつて刑事だった時代、知能・経済犯担当を長く務めていた森氏は、当初、政治家、詐欺師、横領犯、銀行幹部や行員などの詐欺、横領、わいろなどの犯罪にかかわった人の取り調べや事情聴取で、いかにだまされないかが課題だった。そこで集めたのが「ウソのサイン」だ。
森氏によると、ウソをつく人には共通点があり、会話中の「質問」が刺激となり、「話し方」と「しぐさ」にウソのサインが出るというのだ。
「ウソのサインのうち、話し方は19種類、しぐさは10種類あります。このうち、取り調べ中の犯罪者によくみられるのは次のサインです」
●話し方
・返答を渋ったり、拒絶したりする
「そんなことに答える必要あるのか?」「俺が答えなきゃいけない理由がない」などと渋ったり、拒絶したりする。
・質問の手順や方法に文句を言う
「これって手続きとして正しいのか? なんかおかしくないか?」などと質問の方法などに文句を言う。
・逆キレする
怒鳴り散らしたり、恫喝(どうかつ)したりして質問を煙に巻こうとする。
●しぐさ
・自律神経信号が現れる
汗をかいたり、手がふるえたり、顔が赤くなったり自律神経に変化が出る。
・顔に手をやる
質問の直後に顏を手で触る行為をする。
・整理整頓のしぐさ
ネクタイを締めなおしたり、ズボンを上げたり、眼鏡をかけ直したりなど自分の身の周りを整理整頓し出す。