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実力主義?育成の放棄?20代を管理職に登用する弊害と問題点

2018.08.23

「20代編集長」は、得てして勝ち気である。たった数年間、一般職(非管理職)の編集者をしただけで管理職になるから、勘違いをしている可能性が高い。しかも、昇格の際に厳格な査定基準はなく、社長や役員の思いつきや主観で抜擢された可能性が相当に高い。ところが、社内に人事部はなく、労働組合もなく、30代社員が少ないから、怖いものがない。20代でありながら、ある意味で怖いものなしになる。周囲とはいさかいが絶えないのだが、「常に自分が正しい」と信じ込んでいるから、いつまでも変わらない。実は、仕事のレベルはすこぶる低い。

 「20代編集長」はなぜ、誕生するのか。それは端的に言えば、人材難であるからだ。社員数が500人以上の大手出版社ならば、まず、ありえないことなのだ。さらに言えば、この20数年の世論もある。一部のメディアや有識者などが、こういうゆがんだ会社を「実力主義が浸透しているから、20代で課長になる社員がいる」などと、事実をねじまげて伝えてきた。その背景には、1990年代後半に深刻な不況があり、長期安定雇用がきしみ、リストラが広がったこともある。この時期から、成果・実績主義が浸透し、「プロ意識」という言葉が使われる機会が増えてきたこともあるだろう。「プロフェッショナル」が、会社員の間で使われるようになったのも、この頃からである。

 しかし、長期安定雇用がきしみ、リストラが広がったとしても、成果・実績主義が浸透したとしても、人材育成には時間・お金・エネルギーが必要であることにはかわりはない。今回、取り上げた出版社はこれらを事実上放棄し、思いつきで20代の社員を「編集長」と称して管理職に抜擢した可能性が高いと私は見ている。今、「働き方改革」ブームの中、こういう会社がまた、安易に女性を管理職などに抜擢し、ホームページなどにそれを掲載し、宣伝している。

 人の育成には、時間・お金・エネルギーが必要である。これが王道であり、この道を歩まねば、人はまず育たない。このことを忘れてしまっている会社を必要以上に持ち上げる報道はメディアに関わる者としては慎みたい。そのような思いもあり、苦言を呈してみた。読者諸氏の職場で、わずか数年のキャりアで管理職に昇格させ、部下をもたせている会社はないだろうか。それで本当に部下たちは納得して仕事をしているだろうか。

文/吉田典史

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