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2018.08.21

改正著作権法の影響は出るのか?音楽教室vsJASRAC訴訟問題

 今国会で著作権法が改正され、デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定が整備された。改正法によって新たに設けられた3つの柔軟な権利制限規定の中には、解釈によってはJASRAC vs. 音楽教室訴訟の行方に影響をおよぼしそうな条文も含まれている。

デジタル化・ネットワーク化の進展に対応するための著作権改正

 改正著作権法が2018年の通常国会で成立し、2019年1月から施行される。今回の改正の最大の目玉は「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備」である。柔軟な権利制限規定の代表例は、前回の掲載「音楽教室vs JASRAC、ガチンコ訴訟の行方」で紹介したフェアユース規定である。

 新技術・新サービスなどのイノベーションに柔軟に対応できるフェアユース規定は、アメリカではベンチャー企業の資本金とよばれるようにグーグルなどのIT企業の躍進に貢献した。詳細は拙著「JASRACと著作権 これでいいのか~強硬路線に100万人が異議」に譲るが、そうしたIT企業に代表されるフェアユース関連産業がアメリカ経済を牽引している。

 このため今世紀に入ってフェアユースを導入する国が急増し、導入国はいずれも日本より高い経済成長率を誇っている(下表参照)。

フェアユース導入国のGDP成長率

出所:「世界経済のネタ帳

 日本でも2008年、知財戦略本部は知的財産推進計画2008で日本版フェアユースの導入を提案した。これを受けて文化庁で検討したが、権利者が多く集まる文化審議会著作権分科会では、フェアユースのように包括的に権利を制限する規定は認められず、大きな改正は行われなかった。2016年、IOTや第4次産業革命など新たなデジタル技術が発展するなか、知財戦略本部は環境変化に対応した著作物利用の円滑化を図り、新しいイノベーションを促進するため、知的財産推進計画2016で新たに「柔軟性のある権利制限規定」の検討を提案した。この提案を受けて文化庁が検討した柔軟な権利制限規定を盛り込んだ著作権法改正案が今国会で承認された。

改正著作権法の柔軟な権利制限規定

 改正法に盛り込まれた柔軟な権利制限規定は3つある。そのうち、今回の訴訟に関係しそうなのが、第30条の4の「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」である。条文は長いので、文化庁のホームページに掲載されている条文の骨子を以下に紹介する。

 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合はこの限りでない。

(1)著作物利用に係る技術開発・実用化の試験
(2)情報解析
(3) (1)(2)のほか、人の知覚による認識を伴わない利用

 前回掲載分「音楽教室vsJASRAC、ガチンコ訴訟の行方」のとおり、音楽教育を守る会は「音楽著作物の価値は人に感動を与えるところにあるが、音楽教室での教師の演奏、生徒の演奏いずれも音楽を通じて聞き手に官能的な感動を与えることを目的とする演奏ではなく、『聞かせることを目的』とはしていない。」と主張する。これが、「思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」にあたるかどうかである。

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