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企業ニュース
2018.08.15

ベンチャー企業や中小企業は大企業よりも働きやすい職場か?

■連載/あるあるビジネス処方箋

 最近、あるビジネス雑誌が姿を消した。私はこの雑誌に10年程前に記事を何本か書いたことがある。当時、30代の担当編集者と話をしていても、その雑誌を読んでいても理解ができないことが多かった。

 たとえば、取材をする前から、「ベンチャー企業や中小企業は実力主義で、20代社員にとって大企業よりもはるかに働きやすい職場」という結論が出来上がっているのだ。私はそこまで言い切る事実は乏しく、事実関係として疑わしいと思うと打ち合わせで述べた。

 しかし、編集者によると読者層である20代に元気を与えることを狙いとした雑誌なのだという。フリーランスである私は当初、その方針に従っていたが、1年もすると抵抗感を持ち、離れてしまった。今にして思うと、売れなくなるのは無理もない。企業社会の実態からあまりにもかけ離れた内容になっているからだ。

 今回は、その雑誌が「20代社員にとってはるかに働きやすい職場」と称えていた会社(主に正社員数が300人以下)について、私の考えを紹介したい。やや辛らつな部分もあるが、メディアはこういうところまで伝えるべきだと思うからだ。そうでないと、メディアの受け手の側で被害を受ける人が現れかねない。

20代で部長や役員になっているかのような物言いをする若手社員

 正社員数が300人以下の会社の場合は、私の観察では業界・業種・職種を問わず、人事のあり方に問題が多い。少なくとも大企業よりは、はるかに目立つ。特に採用・定着・育成に致命的ともいえる問題を抱え込んでいる会社が少なくない。たとえば、新卒採用を15~20年と毎年実施し、計画的・段階的に社員を育成することができていない。つまり、組織づくりの根幹を成す人材を安定的に確保できていないのだ。とりあえずは、中途採用を中心にするものの、即戦力とは言い難い人材がエントリーしてくる可能性が高い。知名度も低く、人事部もなく、おのずと採用力も弱いからだ。即戦力であったとしても、入社1~2年で戦力にする仕組みがほとんどない。

 こういう組織は人事の仕組みが未熟であるがゆえに、個々の社員が形式上、1つの部署に在籍していても、バラバラに動く傾向がある。たとえば、仕事の進め方やスキル、ノウハウを共有することがなかなかできない。上司がきちんと部下の力を観察し、育成することもできていない。部下育成力やマネジメントのレベルは、大企業に比べると概して低い傾向がある。上司は、20代半ば~後半の社員に仕事などの意思決定権も含め、事実上の丸投げをしている場合がある。管理職でありながら、部下にどのように教えていいのか、詳細にはわかっていないからだろう。管理職の研修はない会社が多く、昇格基準もあいまい。なぜ、こんな人が管理職になったのか、わからない場合も少なくない。

 結果として、20代で入社し、たった数年の経験を積むと、もはや、怖いものがなくなる。部長や役員になっているかのような物言いをする若手社員が現れることすらある。このタイプの20代の社員は、相手の感情などに配慮する力が弱い。大企業のように組織の中で力関係や空気を感じ取り、仕事をする機会に乏しいからだ。

 上司には、言葉遣いや接し方などで最低限度の配慮はするが、先輩や同僚、取引先などには気が回らない。自分が発する言葉で相手が何を感じ、どのように反応するか、それが自分にどのようにはね返ってくるかと具体的に想像し、損得を考えることができない。本人はしているつもりであっても、言葉や行動に実際に表すことがなかなかできない。組織の中で、集団生活の中で生きていくことが苦手であるからだ。結果として、周囲と摩擦や小競り合いが繰り返される。

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