
筆者が幼少の頃の1970年代。
当時の娯楽と言えば、ラジオにテレビ。そしてたまに買ってもらう漫画雑誌、もしくは、月1回、学研のおばさんが届けてくれる、〇年の「科学」や「学習」を読む事くらいでした。
その頃は、そう頻繁に本を買ってもらえる時代ではなかったので、手に入れた本は、それこそ穴の開くほど読み込んでいました。
そんな中、それらの雑誌の裏表紙に、決まって、とっても可愛い女の子の漫画が掲載されているのに気が付きました。
その漫画の内容は点…。
どうやら、主人公の女の子は、もともとは字が下手で困っていたけれど、その後、ペン字の通信教育を受ける事により、みるみる字が上達して、最終的に幸せになれた、というストーリーでした。
このような波乱万丈に満ちたストーリーを、なんと、縦3コマ、横3コマの、合計9コマで表現してしまっていたのですから驚きです。
「ええっ!ペン字を習って字がうまくなると、男の子にモテモテになるんだ!凄い!」
……筆者も、それまでは字が汚くて悩んでいたので、驚きと感動で胸が一杯になりました。
字の美しさを武器に、競争社会の現代の荒波を巧みに渡り歩く女の子。その子の名前は……。
「日ペンの美子ちゃん」です!
「日ペンの美子ちゃん」は、日本ペン習字研究会監修の……。
がくぶんにおける、「ボールペン習字通信講座」のイメージキャラクターだったのです!
美子ちゃんのデビューはなんと、昭和47年。「月刊明星」という、芸能雑誌に初登場しました。
デビュー当時の美子ちゃんの年齢は、大体20歳前後のように見受けられましたが、現在の美子ちゃんは永遠の17歳との事なので、美子ちゃんはタイムスリップをしている? と思ったらそうではなく……。
現在の6代目の美子ちゃんを含め、なんと全員「別人」なのです。
そのため、代が変わるごとに、引継ぎの回が恒例として存在します。
ようするに、代々、「美子ちゃん」の名跡を襲名しているのですね!
ちなみに美子ちゃんの容姿は、その時代時代に即した少女の理想像を反映してか、夢見る乙女だった初代から、様々な職業を体験したり、スポーツにも果敢に取り組むなど、次第にアグレッシブなキャラクター像が構築されてきました。