台風被害を受けたら、どのようなときに支払われる?
では、実際、台風被害に遭ったら、どのような場合に保険金が支払われるのだろうか?
「まず、保険会社より査定をされます。台風の被害といっても実際には『風災』(風で屋根が飛んだり、木がぶつかったりすること)と『水災』(洪水や床上浸水)は台風被害とは別物ですので区別されます。また『建物』と『家財』もそれぞれ保険の対象となっているか否かで支払われる内容が異なりますので、注意してください」
また、寺門氏によると、支払い方法にも違いがあるという。
「火災保険の支払い方式には『フランチャイズ』と『免責(エクセス)』という2種類があります。フランチャイズは、被害の範囲が設定金額以下の場合、1円も支払われず、設定金額以上はすべて支払われる方式です。免責は実損金額から免責金額を引いた金額が支払われます。ここも重要なのでよく確認をしてください」
火災保険を契約するときの落とし穴
昨今、豪雨や台風の被害が身近にある中、台風被害の補償についてはぜひよく知っておきたい。火災保険で補償が付いていない場合には、この機会につけておくのもいい。
そこで、実際に火災保険を選択、契約するときの落とし穴について、寺門氏に聞いてみた。
寺門氏は次の3点に注意するよう教える。
1.「掛け過ぎ」(超過保険)
「超過保険とは、建物の価値を超える保険金を掛けること。価値以上の保険金は支払われません。そのため、超過して掛けている保険料は無駄となります。保険を更新する際に必ず建物の『時価』(再調達価格)を見直しましょう」
2.「掛け不足」(一部保険)
「『一部保険』とは保険料節約のために時価(再調達価格)より少ない保険料しか加入しないこと。例えば、時価3千万円の家なのに2千百万円の保険しか加入しないと、時価の70%になりますので、補償も実損の70%しか支払われません。古い保険ではよくみられました」
3.「節約のしすぎ」
「補償をカットし節約するあまり、いざというときに必要額が支給されないケースです。よく吟味して節約しすぎには注意を」
いざというときのために準備する火災保険。賢く契約しておくことも、安心を得る一つの手段と言える。
【取材協力】
寺門 美和子氏
夫婦問題カウンセラー/ファイナンシャルプランナー
FPと夫婦問題の二刀流。確定拠出年金相談ねっと認定FP。お金と住まいと夫婦問題の専門家として、世界で一番身近で「悩み」「不安」「迷い」に寄添う為に、相談・セミナー・執筆活動をしている。東洋経済オンライン、ファイナンシャルフィールドで連載中。
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取材・文/石原亜香利