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西野JAPAN総括と代表の未来予想図その1

2018.07.06

ロシアでの経験値は必ず活きてくる

 ただ、指揮官の采配に関しては、疑問符のつく部分もあった。その最たるものがベルギー戦の後半ロスタイムの使い方。本田を投入し、彼の伝家の宝刀である無回転左足FKをクルトワに防がれた後のCKをどうするかは判断が分かれるところだった。あのまま攻めに行かずに時間を稼いで、延長に勝負を賭けるという考え方もなきにしもあらずだったし、実際にそういう意見が海外メディアなどでも根強いようだ。しかし、西野監督は3点目を取りに行って勝ち切ることにこだわった。それは28日のポーランド戦(ボルゴグラード)でのラスト10分間の勝ちにいかないボール回しの反省があったからではないだろうか。0-1の負けを善しとする時間の使い方で凄まじい批判を浴びたことで、指揮官は同じ消極的な戦い方をすることができなくなった。もちろんベンチの選手層を考えれば、日本よりベルギーがはるかに上回っていたから、延長に入ったからといって勝てたとは限らない。それでも、試合時間を少しでも延ばす選択の方が8強に近づける可能性が高かったのは確かだ。

 指揮官が退任を決めたのは、こうした采配の責任を取る必要があると感じたからかもしれない。ただ、ワールドカップ経験のない日本人監督がチームを率いれば、必ずこういうリスクは伴う。だからといって、ずっと外国人監督に任せ続ければ、ハリル監督と選手たちの間に生まれたような軋轢が再び起きないとも限らない。どちらにしても今後の方向性をどうするかは難しい問題だ。

 加えて、選手の若返りも必須のテーマになってくる。長谷部と本田が去り、香川も代表との向き合い方を再考すると語っている以上、当面は8月に30歳になる吉田麻也(サウサンプトン)をリーダーに据え、ロシアで輝きを放った大迫勇也(ブレーメン)、原口元気(ハノーファー)、柴崎岳(ヘタフェ)、昌子源(鹿島)ら20代のメンバーを組み合わせてしのいでいくしかなさそうだ。2年後には東京五輪が開かれるから、そこで集中的に強化された20歳前後のメンバーからも使える戦力が出てくるはず。その筆頭が堂安律(フローニンゲン)や久保建英(FC東京)と見られるが、そういう若いタレントが、長谷部や本田らがこれまでの10年間に歩んできたような道のりを辿ってくれれば、4年後も希望が見えてくる。

「今までの日本代表は2002年、2010年、2018年と8年周期でワールドカップ決勝トーナメントに出ているが、それを4年ごとにできるという手ごたえをつかめた」と西野監督は前向きにコメントしたが、本当にそういうサイクルにしなければ、あと一歩でベスト8を逃した今回の戦いが報われない。

 2点をリードしながら30分間でひっくり返される勝負弱さを、吉田は「精神的な脆さ」と言い切ったが、そのメンタル面を変えていくためにも、ベテラン中心の陣容で戦ったロシアでの経験値を確実に今後にフィードバックすること。長谷部や本田がどんな行動を取り、どのような努力を重ねて、3度のワールドカップを戦ったのかを後輩たちがしっかりと学んで、今後の糧にすること。それを強く求めたいものだ。

知将・長谷部誠を継ぐリーダーは、吉田麻也になるのだろう。
Photo:GETTYIMAGES

取材・文/元川悦子@モスクワ

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

■連載/元川悦子「ロシア戦記」

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