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2018.07.06

西野JAPAN総括と代表の未来予想図その1

■連載/元川悦子「ロシア戦記」

覚悟を持ったベテランに賭けた

 本田圭佑(パチューカ)の左CKを相手GKティボ・クルトワ(チェルシー)に阻まれ、そこからケヴィン・デブライネ(マンC)、トーマス・ムニエ(PSG)を経由 してナセル・シャドリ(ウエストブロミッチ)が仕留めるまで、わずか10秒足らず。まさに電光石火と言うに相応しいのベルギーのカウンターに沈み、日本の2018年ロシアワールドカップ8強への挑戦は終わりを告げた。

 この試合を最後にキャプテン・長谷部誠(フランクフルト)が代表引退し、本田も4年後のカタールワールドカップを目指さないことを明言。事実上の代表引退を示唆した。5日の帰国会見では西野朗監督が今月末で退任することも明らかにされた。4月頭のヴァイッド・ハリルホジッチ前監督更迭から3カ月間に目まぐるしい時間を送った日本代表は、1つの時代に終止符を打ち、新たなステージに突入することになる。

 ハリル体制を引き継いだ西野監督が選手の意見を汲んで、風通しのいい組織を作り、予想外のベスト16進出へと導いたのは、確かに賞賛に値することだ。とはいえ、5月21日の国内合宿で本格始動した時を振り返ると、チームの方向性が見えず、暗雲が立ち込めていた。5月30日の壮行試合・ガーナ戦(日産)を0-2でアッサリと負けたにも関わらず、若い世代ではなくベテラン中心の陣容で本大会に挑むことを決めた時も批判の声が殺到した。それでも西野監督はブレずに本田や岡崎慎司(レスター)、香川真司(ドルトムント)ら代表経験値の高いベテラン勢を外すことなく、信じて使おうとした。

「選手たちはブラジルから4年間、いろいろな思いを持ってロシアへ行った。が、私にとっては46日。思いは全く違った」と指揮官も吐露したように、4年前の2014ブラジルワールドカップ惨敗を経験した年長者たちのロシアに賭ける意気込みと情熱を彼はよく理解していた。だからこそ、その思いに賭けたのだ。

 もちろん本田や岡崎を超える20代以下の選手がいれば、西野監督も容赦なく彼らを外したはずだが、ハリル前監督が率いていた頃から傑出した個の力を持つ若いアタッカーが思うように育たなかったのは事実だ。2016年リオデジャネイロ五輪世代の浅野拓磨(シュツットガルト)や久保裕也(ヘント)、中島翔哉(ポルティモネンセ)も最終予選やその後の親善試合で強烈なインパクトを残すことがあったが、一時的な輝きにとどまり、安心して代表を任せられるレベルには至らなかった。ハリル前監督はそれでも強引に彼らを起用したが、日本人の西野監督は「だったら『ラストワールドカップで成功する』という覚悟を持ったベテランに賭けたい」と感じたのではないか。

 その選択は結果的に奏功し、今大会の日本代表は「おっさん世代」に引っ張られた。1-2の劣勢に追い込まれた6月24日のセネガル戦(エカテリンブルク)で本田が値千金の2度目の同点弾を叩き出したシーンはまさにその象徴だ。30歳になって初めてワールドカップの大舞台に立った乾貴士(ベティス)の左から折り返しに、岡崎がつぶれてGKハディム・エンディアイエ(ホロヤAC=ギニア)と交錯し、ゴール右手前でフリーで待ち構えていた本田が左足を振り抜くという「おっさんパワー」が凝縮されたゴールだった。長友は「圭佑はワールドカップに愛された男」と最大の賛辞を送ったが、そこまでワールドカップを本気で考え、そのために努力を重ねてきたから、3大会4得点という偉業を果たせたのだ。そういうメンタリティを信じ、彼らとともに歩むことを決めた西野監督の決断はプラスの方向に出たと言える。

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