
筆者が幼少の頃の1970年代。
子供達の娯楽の中心は、主にオモチャで遊ぶ事でした。
今の様にスマホや携帯ゲーム機、子供向けのテレビやラジオ番組が、それほどなかった時代です。
当時のオモチャは価格も高く、そう頻繁に買ってもらえることはなかったため、コレが欲しい! と決めたものを選定するのに、かなりの時間をかけて吟味する事となりました。
親がオモチャを買い与える時には、物理の法則を体感して、文化・社会へ適合するための訓練になるものを、と考えていたようですが、当の子供たちはそんな事などツユほど知らず、与えられたオモチャで、毎日遊んでおりました。
そもそもオモチャは子供達だけのものではありません。大人のオモチャだってありますし、動物だってオモチャで遊びます。
オモチャは、生きとし生けるものが生きていく活力を育むために欠かせないものなのです。
歴史に眼を向けると、オモチャは古代文明の遺跡からも多数発見されています。副葬品としても用いられていたようです。
近代においては、日本が鎖国から文明開化を経て、諸外国と交易を計る様になると、様々な外国発のオモチャが日本国内を席巻しました。
様々な洋物オモチャが大流行する中、1971年、ひとつの画期的なオモチャが登場しました。
そのオモチャとは……。
「アメリカンクラッカー」です!
「アメリカンクラッカー」は、別名、「カチカチボール」とも呼ばれているオモチャです。
その形状は実にカンタン。
長さ20cm程度のヒモの一端は1つに括った状態で、その先には主に指を入れるためのリングが取り付けられています。そして、もう片方のヒモの先に、直径が約3~4cm程のプラスチックや木製のボールが2個付属しています。
その遊び方はなんと……!
リングの部分を指にはめるか、指で摘まみます。
そしてそのまま、リングを上下に大きく動かすと……!
まずはボールは指の下あたりでぶつかりあって音が鳴ります。更に激しくリングを上下すると……。
ボール同士が大きく上下に持ち上ったり、下がったりして、両方のボールが激しくぶつかりあう事で、ボールが「カチカチ」と音を鳴らします。この音が「カチカチボール」とも言われるゆえんであり、大きな音が鳴ることから、オノマトペ(擬声語)である「クラッカー」とも呼ばれる訳です。