
東京や大阪に続く勢いでホテルの開業が続く京都。最近、増えているのが宿泊業以外の企業が手がける旧住宅をリノベーションした宿泊施設だ(※1)。
ワコールは町家を改装した一棟貸しの宿『京の温所』を今年4月にオープン。さらに今年度中に3軒の開業を予定している。昨年末、ミサワホームも京都を代表する観光地、嵐山にある築約30年のワンルームマンションを大規模改修し、宿泊施設に転用。約半年を経て稼働は好調だという。
これらの宿はフルサービスのホテルではないが、宿泊費を抑えながら滞在、京都で暮らすような体験ができる宿として、外国人だけでなく日本人観光客にも人気がある。自社サイトやOTA(オンライントラベルエージェント)を通して世界中から予約が可能だ。
京都では老朽化や保存の大変さから年に800軒もの町家が消えている。加えて中古マンションや空き家も地域や行政にとっては深刻な問題だ。単に保存や有効利用するだけでなく地域の環境改善やコミュニティーの形成に役立つという一面もある。
また、民家ではないが、歴史的建築物である旧京都中央電話局の建物や市内の小学校跡地などを再開発・リノベートし、2019年からホテルとして運営する計画も進行中だ。
空いている物件を魅力的に転用して活用する好例として京のリノベ宿が果たす役割は大きい。
※1 旅館業法上の許認可を得た簡易宿所営業。
【 アパレル 】ワコール『京の温所 岡崎』
●創業の地・京都の町並みを未来へ引き継ぐ
平安神宮に近い閑静な住宅街にある京町家をモダンにリノベーションした一棟貸しの宿。坪庭を見ながらくつろげる掘りごたつ付き和室もある。長期滞在を想定し、ダイニングキッチンには最新家電だけでなく京都ならではの茶やオリジナルドリップコーヒーを用意する。京都駅に近いワコール新京都ビルでチェックイン、荷物の預かり運搬サービスも利用できる。
[ DATA ]
住所/京都府京都市左京区岡崎円勝寺町91-85 宿泊料金/一棟6万~18万円(税別、人数と時期により変動)。宿泊可能人数は1~6名。 予約は公式サイトにて。
http://www.kyo-ondokoro.kyoto/