
日本の大動脈として日々多くの乗客が利用している東海道新幹線。国内でも非常に重要な鉄道路線ということはもはや言うまでもない。トラブルは起きない起こさないことがもちろん大前提だが、それでも万が一予期せぬトラブルが発生した際はどういった対策がなされているのだろうか!? 今回は年に一度のペースで東海道新幹線の実際の線路で行なう「異常時対応訓練」に鉄道写真家・ムラカミが潜入取材。JR関係者以外は見ることができない、東海道新幹線の異常時対策を紹介しよう!
深夜24時前の三島駅。最終の新幹線が帰宅客を乗せて到着するころ、報道陣は駅に集合した。今回の訓練は車両基地などではなく、ついさっきまでたくさんのお客さんが乗った新幹線が走り、翌朝も通常運転がされる実際の本線上で行なわれる大規模な訓練だ。訓練参加メンバーは東海道新幹線の運行に関わる運転士、車掌、パーサーはもちろん、JR東海の社員や周辺企業、東海道新幹線と線路が繋がっているJR西日本、JR九州の社員など総勢317名。避難誘導役のほか、乗客役などを各自担当する。
時間になるとJR東海 広報部の仁野慎也さんから訓練の内容が説明された。
要約し、箇条書きにするとこうだ。
●三島駅を発車後、東京方面に走行。
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●走行中に車内で異常が認められ、
車掌が非常ブザーを扱い、運転士が列車を停止
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●停止したトンネル内にて自走不能と判断
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●乗客を該当列車に横付けした避難用の対向列車に避難誘導
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●三島駅まで避難用の列車に乗車して誘導
という内容だ。続いて「本線上で行う訓練なので落し物に気を付けてください」と付け加えられた。当たり前だが今回は本線上で行なう訓練。貴重な体験に少しワクワクしてしまうけど、あくまでも今日は大切な訓練。訓練が終了した数時間後には通常通り始発の新幹線が高速で通過するわけだから、報道陣にも緊張感が走る。
訓練場所まではN700Aで移動。シェードは訓練の都合で閉められており、通常と違う雰囲気が漂う。
ホームに案内された我々は今回の訓練場所となる三島駅からほど近い「新丹那トンネル」まで新幹線で移動する。移動中、訓練参加者には異常発生車両の状況が説明されていた。
三島駅を出発して数分、急ブレーキがかかり緊急停車。閉じていたシェードを開けるとそこはトンネル内。今回は台車周りに何かしらの支障があると仮定されたので自走するよりも一刻も早く停車させるべきと判断された。トンネル内停車という状況について広報部の仁野さんは、こう説明してくれた。
「トラブルのケースによってトンネル内だとしてもただちに列車を停車させ避難誘導の手配をすべきか、そうでないかを判断して対応を決めます。また停車の方法も走行装置の異常を検知して自動的に停車するケースと今回のように運転士へ異常を通報し、それを受けた運転士が手動で非常ブレーキをかけるケースがあります。様々な状況をまず安全性を最優先して協議、判断し総合的に対策を決定しています。今回はトンネル内であっても車両を動かさないという判断になりました」
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